100%虫歯を予防するための5つの方法を歯医者が徹底解説

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Dr.KITAMI

北見 顕介/KensukeKitami このコンテンツでは、現役の歯科医師ができるだけ専門用語を使わずに、わかりやすい言葉を使って解説しています。
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突然ですが、「虫歯になってしまった後に、歯医者に行く」ということを繰り返していては、歯を失ってしまう可能性が将来ずっと高くなってしまうという事実を知っていますか?

ほとんどの人の虫歯治療のイメージは、虫歯で穴が空いた部分を削って「つめる」とか、「かぶせる」といった治療をすることではないでしょうか。

これは虫歯で穴が空き無くなってしまった部分に、人工物をただはめこんでいるだけです。虫歯の原因を除去するような根本的な治療ではなく、いわば応急処置にすぎないのです。

そのような治療をした後に同じような生活をしていては必ず近いうちに虫歯が再発します

もしあなたが「歯医者の治療を受ける回数をできるだけ減らしたい」、「いつまでも自分の歯でかみたい」という思いがあるなら虫歯になった後ではなく、虫歯になる前の治療「虫歯を予防するための知識」の方がはるかに大事で価値があります。

日本では虫歯予防の知識を学ぶ機会が極端に少ないことから、予防の知識がほとんど定着していないという現実があります。まずは虫歯から歯を守るための予防の知識をつけること。それが、あなたの掛け替えのない歯を守るための手段になります。

今回の記事で虫歯予防の知識を身につけて、一生涯虫歯の無い人生を手にいれるための一助となれたらと思います。それではさっそくいきましょう。

まずは虫歯のプロセスを知ること

虫歯はどのようにできるのでしょうか。虫歯を完璧に予防するためには、まずは虫歯になる過程を知らなければなりません。

まず知るべきこととして、清掃状態の悪い歯の表面には、必ずプラーク(歯垢)というネバネバしたものが付着していることです。

このプラークは人が物を食べるとすぐに、食べものの中にある「糖」を元にして、歯を溶かす原因となる「酸」を作り出します。

この酸によって、口の中やプラークの酸性度が高くなり、歯の成分が溶け出します。これを”脱灰(だっかい)”といいます。この状態が長く続くことで歯に穴が空いてきます。これが虫歯の始まりです。

これら虫歯の原因についてもっと知りたい方は、こちらの誰もが間違っている!?本当の虫歯(う蝕)の原因と予防法を完全網羅をチェックしてみてください。

脱灰から歯を守る唾液の力とは

唾液には歯の成分が溶け出し、酸性に傾いた口の中やプラークを中和させる働きがあります。また、溶け出した歯の成分を再び歯の表面に戻します。この唾液による脱灰を防ぐ働きを”再石灰化(さいせっかいか)”といいます。

口の中は常に唾液で濡れている状態を保つことで、脱灰から歯を守っていますこの脱灰を再石灰化する力が上回っていれば虫歯になることはありません!そこを肝に銘じておいてください。

虫歯予防のポイント1:最も大切!?毎日の◯◯に気をつけるだけ

虫歯予防には、「できるだけ糖分が高い食べ物が口の中に停滞する時間を減らすこと」がとても大切です。

普段あなたがしている毎日の食事で、先ほどの「脱灰」と「再石灰化」は常に流動的に起こっているのです。脱灰と再石灰化を表した図を見てください。

(グラフの下)脱灰が起きて、酸性度=pH(ペーハー)が低い時間が長ければ長いほど歯は溶け出し虫歯に近づきます。

対策として飲食と飲食の間をあけることで酸性に傾いた口の中は再石灰化により、徐々に回復します。逆に飲食を頻繁に行うことで再石灰化がしづらくなり、脱灰の時間が長くなります。

以上から虫歯予防で最も大切なことと言っても過言ではないことは、毎日の食事の時間と頻度に気をつけること。少しずつ長い時間食べない」こと「間食はしない」ことが虫歯予防の第一歩となります。

以下に脱灰をできるだけ避けることができるための習慣をまとめましたので参考にしてみてください。

  • 一回の食事の時間をなるべく少なくする
  • 間食は避ける
  • コーラなどの糖分の高い食べ物はチビチビ飲むのではなく一気に飲み干す
  • スポーツドリンクなどを少しずつ飲むことはやめ、できればお茶や水などに変える
  • クッキーや飴玉、餅など口の中に長く停滞するものはできるだけ避ける

 

 

ここまで説明してきた、虫歯菌が酸を出すための「糖」は、お菓子以外の食べ物にも多く含まれています。

  • ごはん類
  • パン類
  • 麺類
  • 果物類
  • ジャガイモなどの野菜類

それぞれに含まれる糖を元に、酸は作り出されます。このことから、人それぞれ再石灰化の力の差はあるものの、再石灰化能力はあるので「糖分を全く摂らないようにする」という考え方より「糖を摂る回数を減らす」ことがとても大切です

また、歯が溶け始める境界を越えなければ虫歯になることはないので、糖分が極端に高い食べ物を避けるたり、例えば

  • いつも飲んでいる果物やジュースなどを水やお茶に変える
  • お菓子をシュガーレスのガムなどに変える

などの方法をとることが虫歯を回避するポイントとなります。

虫歯予防のポイント2:唾液の力で虫歯を予防

虫歯予防に唾液の力はとても重要です。脱灰から歯を守る”再石灰化”には唾液の質や、量が深く関係しているからです。

一度歯の成分が溶け出しても、唾液による再石灰化によって徐々に回復すると説明しました。これらは唾液の中和する力(緩衝能:かんしょうのう)が元々強かったり、唾液の量が多いために回復のスピードが高くなるためです。

唾液の緩衝能には個人差があります。もし、あなたの緩衝能が低い場合は高くするための工夫が必要です。緩衝能を高くする方法は基本的に良く噛むことです。噛む回数を増やすことで緩衝能は上がります。

糖分が高い食事と炭水化物に偏った食事は要注意です。それら偏った食事を続けることで緩衝能が低くなります。糖分の少ない、バランスのとれた食事を心がけること。また、妊娠中や喫煙によっても同じように緩衝能が低くなります。

唾液の量が多ければ多いほど、虫歯を予防するには有利です。もし緩衝能が低い場合、唾液の量を増やすことである程度カバーすることはできます。数日で劇的に唾液の量を増やすことは難しいですが、少しづつ増やす努力をすることで徐々に改善することは可能です。

唾液の量を増やすための方法を4つにまとめました。

  • 水分を十分にとる(糖分が入っていないもの)
  • 食事を良く噛んで食べる(唾液の分泌を促進させる)
  • やわらかい食べ物ではなく、噛みごたえのある食事を心がける
  • キシリトールガムを噛む

水分を十分にとること、食べ物を良く噛むことで唾液の分泌が促進させることが基本です。また後に説明しますが、キシリトールガムを噛むことで唾液の量が増えるので虫歯予防にとても効果的です。

飲んでいる薬剤によっては、副作用で唾液の量が減ってしまう薬もあります。もし何らかの薬を常用している場合、唾液の分泌を抑制していないかを一度調べることをおすすめします。

1日5分で唾液を増やす”唾液腺マッサージ”

人には唾液を作る”唾液腺”という組織がいくつもあります。中でも唾液の分泌の大部分を担う大唾液腺と呼ばれるものが3つあります。

場所は頬に近い場所に1つ、舌の裏側に2つです。

再石灰化に関係する唾液はこの舌の裏側にある”顎下腺(がっかせん)”と、”舌下腺(ぜっかせん)”の2つから多く分泌されます。

舌の裏側には唾液の出口があり、マッサージはこの場所を刺激し唾液の量を増やす方法です。下の図を参考にして唾液腺をマッサージするとより効果的です。

出典:毎日新聞

虫歯予防のポイント3:ガムを噛むだけで虫歯予防!?

CMなどで一度は聞いたことがあるキシリトール。キシリトールには虫歯を予防する効果があります。

キシリトールは”糖アルコール”と呼ばれ、イチゴなどにも多く含まれる甘味料の一つです。キシリトールは現在、食品に添加されているものがいくつかありますが、中でもキシリトール入りの”ガム”を噛むことをおすすめします。

理由はキシリトール入りのガムはコンビニなどにも売っていて手軽に手に入ることが一つと、ガムは口の中に長く滞在するためです。また、キシリトールが虫歯予防に効果がある根拠があります。それらを3つにまとめてみました。

  • 虫歯の原因となる菌の発育を抑制させる
  • 何度も噛むことで唾液が分泌される
  • 独特の甘味によっても唾液が分泌される

摂取する糖分を全てキシリトールに変えることはできないですが、日常生活に気軽に組み込むことができる点と、毎日ではなく、定期的に噛むだけでも効果が発揮されるところがキシリトールのとても良い点といえます。

虫歯になる場所は決まっている!?

実は歯にも、虫歯にはなりやすい場所となりにくい場所があります。個人差はありますが、人それぞれ似たような場所が虫歯になります。食事の前にプラークを全て取りきることは難しいですが、虫歯になりやすい場所を知り、その部分だけでも磨くことができれば虫歯予防につながります。

虫歯になりやすい場所は大きく分けて2つに分けることができます。

  1. プラークが溜まりやすい場所
  2. 唾液の流れが悪い場所

では、この2つの場所について順番に解説していきます。

プラークが溜まりやすい場所=歯ブラシが普段あたりにくい場所 といえます。普段部屋の掃除をしていてもほこりは掃除用具の届きにくい溝の中や、手のとどかない高い場所に溜まっていませんか?口の中もこれらと全く同じと思ってください。

磨き方がわからなければ大抵の人は同じような場所にプラークが残っているので、その場所が虫歯になりやすいというわけです。

虫歯になりやすい場所はさらに3つに分けることができます。

  1. 歯の根元(歯ぐきの近く)
  2. 歯の溝の部分
  3. 歯と歯の間

の3つです。

虫歯になりやすい場所:その1【歯の根元】

歯の根元の部分(歯ぐきの近く)はこの部分になります。この場所は普段歯ブラシが当たっていると勘違いしやすい部分といえます。

虫歯になりやすい場所:その2 【歯の溝の部分】

歯の溝の部分はこの部分になります。あきらかに歯ブラシの毛先が入りにくそうですよね。また、歯の上側は平面では無く複雑な形をしていることも理由のひとつです。

虫歯になりやすい場所:その3【歯と歯の間】

歯と歯の間とはこの場所です。

「歯と歯の間は掃除しない!」という人は意外と多いのではないでしょうか。写真の赤い部分が虫歯になりやすい場所ですが、この場所に歯ブラシを当てようとしても届かないことも多いため、市販のデンタルフロスを併用することで使用します。

虫歯になりやすい「唾液の流れが悪い場所」とは

川は海から近い場所にある場合、流れが速く水量は多いですが、海から離れるにつれ徐々に水の量が減り流れも遅くなりますよね?

口の中で唾液腺の出口に近い場所は、流れが良く量も多いため、脱灰してもすぐに再石灰化されやすいです。この場所は虫歯になりにくいといえます。

逆に唾液腺の出口から遠い場所は、唾液の流れが悪いため再石灰化されにくく虫歯にもなりやすいのです。

これらをふまえると「プラークが溜まりやすい場所」で、かつ「唾液の流れの悪い場所」は上の写真の歯と歯の間と歯茎の近くは特にリスクが高いということになりますね。虫歯予防のために、虫歯になりやすい場所を知っていることは大切なことですので知識として必ず覚えておいてください。

また、食事の前にこれらの場所だけでも意識して磨いてみてください。全ての場所を毎回、完璧に磨くことは難しいですが、虫歯になりやすい場所を把握し、その場所だけでも磨くことで、虫歯の原因となる細菌の数を減らすことはできるでしょう。

注意してほしいこととして、歯磨きだけでは虫歯は予防できないということは知っておいてください。ポイント1で説明した、間食を減らしたり糖を控えたりするシュガーコントロールの方が虫歯を予防するためには大切です。

歯磨きだけでは虫歯が予防できない理由は歯医者が衝撃の事実を公開!虫歯予防の歯磨きはしてはいけない!?の記事に書いてありますので是非参考に。

虫歯予防のポイント4:虫歯予防の強い味方”フッ素”を使う方法

虫歯予防としてフッ素の利用は大きな効果があります。フッ素は単体ではほとんど存在していないため、私たちが使っているものは“フッ化物(ふっかぶつ)”と呼ばれます。フッ化物の虫歯予防における働きはいくつかありますが、特に重要なのは次の2つです。

  • 再石灰化の促進作用(さいせっかいかそくしんさよう)
  • 耐酸性作用(たいさんせいさよう)

また再石灰化という言葉が出てきたということは虫歯予防には再石灰化が大事ということがわかりますよね

では再石灰化の促進作用とはどういうことか。図でわかりやすく説明します。

一度脱灰してから再石灰化によって酸性度が回復するには通常、1時間程度かかります。しかしフッ素によってこの再石灰化の時間が早まります。図で見ると右上がりの線の角度が急になり、回復するまでの時間が短縮していることがわかります。

虫歯になるリスクとして大切なことは、脱灰の時間が長く続くことといいました。フッ素を正しく利用することにより、そのリスクを減らすことができます。

次に耐酸性作用について説明します。耐酸性とは歯の表面が、酸に溶けにくいような強い歯にするということです。「歯が酸に強くなる」ということは図で見ると、歯が溶け始める境界の線が下に下がるということです。

脱灰してから、再石灰化する時間が短縮されたり、少しくらいの糖では脱灰がおきにくくなります。

現在フッ化物が含まれている、歯磨き粉や洗口剤は現在多く市販されています。これらを日常の生活の中に組み込んで、習慣にすることでフッ化物の利用を当たり前にしていくことがポイントです。

虫歯予防のポイント5:治療途中の歯を無くすこと

治療途中の歯がいつまでも残っていることや、両方の奥歯でうまく噛むことができない状態が続くと、唾液の量は少なくなり虫歯のリスクとなります。一本の歯が他の歯をダメしてしまう、負のサイクルに陥っていきます。

逆に、治療途中の歯を残さず安定して噛める状態を作ることは、他の歯の虫歯のリスクを減らすことにつながりますので、治療が必要な歯を放置することは極力避けること。

まとめ

虫歯から歯を守るための予防法について徹底解説してきましたがいかがだったでしょうか。今回もかなりの量になりましたが。笑

最初に解説したように、ほとんどの人は虫歯予防の知識を教わる機会がないため虫歯になって歯医者に行かない限りこれらを知る機会はほとんどありません。むしろ歯医者に行っても「虫歯を予防する方法」まで詳しく教えてもらえないことも多いくらいです。

今回、解説してきた虫歯予防で大切なポイントは次の2つです。

  1. いかに虫歯の始まりである「脱灰の時間」を減らすことができるか
  2. 脱灰してから、いかに早い時間で再石灰化することができるか

この2つにかかっています。1の「脱灰の時間を減らす」ためには、食事の時間と頻度に気をつけること。特に糖分の濃度が高い食べ物、飲み物をダラダラと食べることが最も危険です。

2の「いかに早く再石灰化させるか」ですが、唾液の量を増やす努力をしたり、フッ素やキシリトールを使用する方法をまずは試してみるといいと思います。

原因や予防の知識がなければ虫歯を回避することはできません。すぐには結果はでませんので、ここに書かれていることを根気強く続けていくことが、とても大切ですね。

今回は以上です。

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