虫歯が進行するとどうなる?症状、治療法を歯医者が徹底解説

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Dr.KITAMI

北見 顕介/KensukeKitami このコンテンツでは、現役の歯科医師ができるだけ専門用語を使わずに、わかりやすい言葉を使って解説しています。
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自分に虫歯があるとわかっていても、歯医者は怖い場所というイメージが強いと思います。できれば歯医者には行きたくないですし、自ら進んで歯医者に行きたいなんて人はいません。それは全員同じことです。

ですが、そんな「ついつい歯医者に行くのを後回しになってしまている人」にこそ、今回は読んで欲しい記事です。

今回は、虫歯が進行するにつれて、どんな特徴や症状、治療を行うのか。また、「どのタイミングで治療を行うのがベストなのか」というところまで、できるだけ詳しく解説していきます。

普段、僕が診療していても「虫歯がかなり進行していて、もう少し早く来てくれたら‥。」と思うことが多々あります。

虫歯は進行の程度によって、症状や治療法が全く違いますので、今後の治療の参考になれたらと思います。それではさっそくいきましょう。

そもそもなぜ痛む?虫歯によって、痛みを感じる理由

最初に、”虫歯になってしまった歯はなぜしみるのか”を解説しておきます。

これは結論から言ってしまうと、歯の中に刺激を伝える神経が通っていて、そこに冷たいものなどの刺激が加わることで、痛みとして脳に伝わるからです。

これは実際に、歯の断面を表した図です。

一番表面から順番に、エナメル質、象牙質(ぞうげしつ)、そして歯の中にある神経“歯髄(しずい)”があります。

表面のエナメル質への刺激は神経に伝わることがないため、「虫歯によって溶かされても痛みを感じることはありません。」このエナメル質は体の中で最も硬い組織で、全体をおおうことで歯を保護をしています。

虫歯が進行すると、象牙質が露出し、その時点で初めて冷たいものが「しみる」と感じ始めます。

これらの痛みは”体の危険信号”です。

僕は、もし歯自体に神経が無く、痛みを感じない器官であったら多くの人が虫歯をかなり進行するまで放置してしまうと思っています。

後に解説しますが、かなり進行してしまった場合はすべて失ってしまう結果になるかもしれません。

体への悪影響が大きいからこそ、歯の一つ一つに神経が通っていて、痛みを伝えることで体の危険を「知らせている」ということを知っておいてください

進行度【0〜1】 “初期”の症状と治療法

虫歯は重症度によって分類するとわかりやすいので、ここからは

  1. 軽度
  2. 中等度
  3. 重度

に分けて解説していきます。まずは、虫歯の初期の段階からです。

この段階は歯の一番表面のエナメル質のみが溶けている状態です。また、表面はデコボコしていることもありますが、基本的には大きな穴ではなく、硬い状態です。

虫歯の進行度0 (CO)

この段階は「シーオー」と言って、僕らは要観察歯(ようかんさつし)とも呼んでいます。

表面が白く濁っていたり、溝が茶色に変色することがありますが、痛みはないです。

僕ら歯科の世界では、虫歯を重症度で分類するとき、CO(シーオー)、C1(シーワン)、C2(シーツー)などの専門的な用語を使って分類しています。数字が大きくなるにつれて虫歯が進行している状態です。

治療法はフッ素塗布などを行うことにより、一度溶け出した歯の成分を、表面に再び戻して自然治癒させる再石灰化(さいせっかいか)という現象を期待します。

再石灰化についてもっと詳しく知りたい方はこちらの100%虫歯を予防するための5つの方法を歯医者が徹底解説で全て解説していますのでチェックしてみてください。

 

虫歯の進行度1 (C1)

C1 エナメル質に限局した虫歯の画像

虫歯の進行度は先ほどのCOよりは進行しますが、歯の欠損はエナメル質の中のみです。痛みはありません。

エナメル質のみにある虫歯は基本的に、”削ること”はしないと思ってください。基本的には経過観察と、生活習慣を変えることで虫歯が進行しないようにする方が先です。

進行度【2】 “中等度”の症状と治療法

虫歯の進行度 2(C2)

虫歯の進行が中等度(C2:シーツー)になると、歯にあきらかに穴が空いているのがわかります。

虫歯は、表面のエナメル質を越え、その中の象牙質まで進行し、神経(歯髄:しずい)まで近づきます。

ただし、この状態では歯の神経に感染はおきていません

虫歯によって穴があいた歯は、象牙質が露出しているため、エナメル質と違い刺激が伝わりやすく、

  • 冷たいものにしみる刺すような痛み、
  • 甘いものにしみる
  • 歯ブラシをすると痛い

などの症状がでてきます。

象牙質が刺激を通しやすい理由は、象牙質の中には目に見えないくらいの”無数の管”が数えきれないほど通っています。

神経の枝がその管まで手を伸ばしていることで、刺激がその管を伝って神経に伝わり、痛みとして感じるのです。

治療法としては虫歯を完全に除去した後、部分的に詰め物をしたり被せ物を作っていきます。

進行度【3〜4】 “重度”の症状と治療法

虫歯の進行度3(C3)

虫歯の進行度が重度(C3:シースリー)になると、歯の神経にまで細菌の感染がおき始めます。

 

この進行度2から進行度3に移行するタイミングが最も痛みを感じると思ってください。

冷たいものにしみるだけだったものが、何もしていなくてもズキズキと脈を打つような痛みに変わり「夜も眠れないくらいの痛み」になることも少なくありません。

この“何もしていなくてもズキズキする”という症状は僕ら歯科医師が”神経まで虫歯による感染がおきているか”の一つの目安としています。

この状態は歯の神経(歯髄:しずい)自体が感染していて、強い炎症をおこしている状態です(歯髄炎:しずいえん)。

歯の神経の痛みは人間が感じる痛みの中でも、痛みの大きさはかなり上位と言われています。痛みの程度が大きいということは、今がとても危険な状態だと体に知らせているということですね。

さらに放置すると、神経への感染がさらに進みやがて壊死します。これは神経が完全に死んでしまった状態です。

歯の根っこの先まで、バイ菌の巣が広がると、骨が退縮して膿が溜まっていきます。

下の写真は歯ぐきから膿がでたり、腫れている状態の実際の前歯の写真です。

膿はとても不快な臭いがするため、口臭の原因にもなります。

虫歯による感染がおきてしまって、神経が死んでしまった歯は、深い虫歯を完全に除去した後に、菌に感染してしまった神経を除去、消毒する処置を行います。(痛みの原因である感染してした神経を根こそぎ取る)

最後に、神経を除去した部分に、神経に変わる材料を緊密につめる処置が行われます。

虫歯によって歯の神経が死んでしまった場合の誤解

神経が完全に死んでしまうと、虫歯によって歯がしみるような痛みを伝える機能が無くなります。

また、

  • 徐々に歯の痛みは軽減される
  • 必ずしも歯ぐきが腫れるわけではない

ことから、「放置していたら痛みが無くなったし、治った!」と勘違いしてしまう人が多くいるようです。

痛みが出ていないのは、体の免疫力で症状がでないように抑えているだけで病気自体はありますし、疲れているときなど免疫力が下がれば神経がまた炎症をおこします。

長い期間放置していると、先ほど解説した進行度2から3への移行するときのような、我慢できない痛みに移行することが多いです。

一度、菌に感染した歯の神経は健康な状態に戻すことはできない」ことを絶対に覚えておいてください。

また、神経の細胞はとてもデリケートです。例えば”歯の神経に薬を効かせて、バイ菌だけを殺す”なんて方法は無いと思ってください。

加えて、とってしまった神経は感染した場合と同じで、現在の技術では元通りに再生することはできません。

脊髄の神経を損傷してしまうと、体の麻痺が残ってしまうように、神経の細胞が再生することは難しいということです。

虫歯の進行度4( C4)

ここまで虫歯が進行すると、残っている歯は根っこだけの状態です。歯の見えている部分はほとんどなくなってしまい、C3と同じで根っこの先に膿(うみ)が溜まることもあります。

神経が死んでしまっているため、冷たいものにしみることはありませんが、根っこの先が腫れるとズキズキするような痛みを伴うこともあります。

治療法は残念ながら抜歯(歯を抜くこと)になってしまうことが多いです。

その理由を解説します。虫歯で根っこだけになってしまった歯を元の歯のように使うためには、残った根っこの上に、人口の被せ物を作らなければなりません。

しかし虫歯は、歯ぐきを越えて、さらに下まで進行してしまうのです。

被せ物は、削った歯の上に接着剤(歯科用セメント)で固定することで、初めて口の中で維持することができます。

歯ぐきの下まで虫歯が進行してしまうと、人工の歯を作るための型どりで再現することができないことがあります。

また、写真のように虫歯が深すぎて歯の底部に穴が開いてしまっていると、たとえうまく被せ物を作成することができても、近いうちにまた感染がおきて必ず腫れるなどの症状がでてきます。

歯ぐきの上など、やわらかい場所に被せ物をたてることはできませんよね^^?

要注意!欠けることなく広がってしまう虫歯

虫歯の広がり方にも実は特徴があります。

大きく歯が欠けていれば誰でも虫歯だとわかりますが、入り口は小さくても中で広がってしまうような虫歯(裂溝う蝕:れっこううしょく)が中にはあるので、ここで解説しておきます。

この虫歯は年齢が若い人で「奥歯」がなりやすく、奥歯の溝から進行します。自覚症状が無く進行し、気づいたときには歯の神経まで進行していることも多々あります。

この奥歯は一見、虫歯には見えないのではないでしょうか。

しかし、中を見てみると奥歯の溝から溶け始めて神経以外、残っている歯の部分のほとんどが虫歯になってしまっています。

さらに、ここまで進行するのに何年もかかるわけではなく、数ヶ月で大きく進行してしまいます。

虫歯は進行するスピードで進行が早い、急性(きゅうせい)と進行が遅い慢性(まんせい)に分けることができ、この溝から進行する虫歯の多くは「急性の虫歯」です。

急性の虫歯は若い人に多く、中身は黄色に近い色をしています。触るとチーズのようにやわらかいことが特徴です。

逆に慢性の虫歯は高齢者に多く、硬くて進行が遅いです。

超重要!虫歯で歯を”失う”か”失わない”かの分岐点

虫歯が深ければ抜歯になってしまうかもしれないことは大体理解できたと思いますが、長い目(10年、20年単位でみたとき)あなたの歯を虫歯によって、失わないために絶対に知っておくべき知識があります。

僕たち歯医者は、虫歯が進行することによって、「歯の神経に感染がおきて、神経をとる治療をしたか、していないか」が今後、歯が今後「残るか、残らないか」の一つの分岐点と考えて一線を引いています。

その理由として、神経は残していた方が、歯として良い状態で長期的に保存ができるからです。

歯髄を生きて保存できると、神経の周りの組織に栄養を供給できます。また、虫歯の処置をした歯は、虫歯に再びなりやすいことがあります。

虫歯によって神経を除去していると、”冷たいものにしみる”などの症状がなくなりますが、その結果、虫歯の進行に気付きにくいのです。

歯の神経が保存されていれば、虫歯が進行するにつれて痛みを感じるので、結果的にその歯を守ることに繋がります。

神経を残して治療したときのメリットをまとめておきます

  • 歯全体に栄養を供給できる
  • 痛みの感覚を伝えてくれるため、虫歯に気付きやすい
  • 治療回数が少なくて済む

虫歯治療において、「できるかぎり歯の神経は保存する」という考えは現在、主流の考え方です。

しあなたが、虫歯によって歯を失いたくないと考えたとき、 歯の神経に感染がおきる前(できるだけ初期段階)に虫歯治療をすることがベストです。これはひとつの大事な考え方だと思います。

8割の人が勘違いしている、虫歯の治療方法とは

そもそも虫歯の治療法を聞かれたときに、削ったり、詰めたりという方法が思い浮かぶと思います。衝撃的なことを言いますが、実は削ったり、詰めたりする行為は、根本的な治療方法ではありません。

なぜなら、削ってつめる行為は、虫歯という病気を薬によって一時的に抑えていることと同じことだからです。

削る、詰めるということは虫歯で無くなってしまった部分に、歯の形をした人工物をはめこんでいるだけで、放っておけば同じように虫歯になります。むしろ虫歯になりやすいです。

虫歯には原因があって、避けられる病気でもあります。

本当に虫歯を治療するということは、虫歯を削って治療をすることではなく、虫歯になる原因を知って、虫歯にならないような環境にすることではないでしょうか?

虫歯に原因についてはこちらの記事誰もが間違っている!?本当の虫歯(う蝕)の原因と予防法を完全網羅

僕は虫歯の治療を終えた後の患者さんに「虫歯の治療は終えましたが、ここがスタートラインですよ」と言うようにしています。

あなたの歯を一生守るために、虫歯が小さいうちに治療をすることは当然であり、虫歯を削って治療した後の歯を守りながら「今後虫歯にならないためにはどうすればいいか?」を考える方があなたにとっても何倍も利益があると思います。

まとめ

今回は虫歯の進行度とそれぞれのステージの症状、特徴 治療法まで詳しく解説しました。

ここで今回の記事の重要なことをまとめまておきます。

  • 虫歯の痛みの原因は歯の中に神経があり、その神経が刺激を痛みとして伝える働きをしている
  • 虫歯の初期段階では、痛みを感じることはない。削らずにフッ素を塗布して再生を促す
  • 表面のエナメル質を越えて、象牙質に虫歯が達すると痛みを感じ始め、虫歯を削るなどの処置を行う
  • 虫歯が重度になると、歯の中の神経が死んでしまい感染をおこす。
  • 虫歯によって、歯が根っこだけの状態になってしまうと、治療法は抜歯(ばっし:歯を抜くこと)になることが多い。
  • 一度溶けたり、抜いてしまった歯は二度と元には戻らない
  • 歯を残したいのであれば、感染が神経に及ぶ前に必ず治療をした方が良い。

といったところです。人は虫歯だと気づいたときに初めて、早く治さなければという意識にかられます。

しかし、虫歯には原因があり、予防すれば避けられる病気であることから、虫歯予防は病気が進行する前に、原因を叩くという意味でも、”本当の虫歯治療”ではないでしょうか。

虫歯が進んでしまった後だと、治療の「時間」も「費用」も膨大です。

この記事を読んで、虫歯は早めの対応が重要であることも理解できたかと思います。また、早めに歯医者に通うきっかけにもなれたら嬉しいです。

今回は以上です。

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