歯科衛生士の9割が知らない!?歯医者が正しい歯磨きの仕方を徹底解説

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Dr.KITAMI

北見 顕介/KensukeKitami このコンテンツでは、現役の歯科医師ができるだけ専門用語を使わずに、わかりやすい言葉を使って解説しています。
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あなたは正しい磨き方を知っていますか?実は患者さんに教える歯科医師、歯科衛生士でさえも間違った方法で歯を磨いている人は多くいるのです。

自分で正しく歯を磨くことができないのに、患者さんに正しい歯磨きの仕方を教えることは絶対にできません。この記事を読めば歯の正しい磨き方の基本テクニックを学ぶことができます。

そして、あなたが「間違って覚えていたこと」や「できていなかったこと」がわかれば新たな発見に気づくことができるはずです。今まで知らなかった歯の磨き方をしっかり覚えて明日からの臨床に活かしてください。

歯の磨き方を知らないと何が起きる?

簡単に言うとあなたの診ている患者さんの歯がどんどん失われることになります。せっかく治療して綺麗になった歯でさえもです。それはなぜでしょうか。

歯を失う原因のほとんどは歯周病です。歯周病は日本人の8割が罹患していると言れています。この歯周病をコントロールしないかぎり歯を失うリスクが一気に高くなります。逆に言えば歯周病をコントロールすれば自然に歯が抜け落ちるなんてことは起きないのです。

歯周病は歯の周りについた歯垢(プラーク)が原因です。したがって歯を守るためにはプラークのコントロールが不可欠です。

プラークってどんなもの?

普段お風呂掃除をしているときに”ぬめり”がある場所を想像してみてください。お風呂のぬめりをとることは簡単ではないと思います。水を掛けても全くとることができず、丁寧に磨くことで初めてとることができます。

口の中のプラークもそれと同じ状態だと思ってください。プラークは細菌同士が密になっていることでとても粘着性があります。それが風呂場のような平らな面ではなく、複雑な形をした一本一本の歯に付着しているのです。この汚れを落とすことは磨き方を知らないと容易ではないと想像できると思います。

ほとんどの人が知らない磨かなくてはいけない場所

まずは磨き方を覚える前に、最もプラークがついている場所を知らなくてはいけません。これは図を見れば簡単に理解できます。

①この歯の丸みをおびている部分には常に舌や頬があたり汚れは付着しずらいのですが、この②溝の部分はプラークがとても溜まりやすい場所です。これは、部屋掃除をしていても溝などにホコリがよく溜まっていていることと同じです。

あなたが覚えなくてはいけない磨かなくてはいけない場所“歯と歯の間”と”歯肉の近く“です。逆に言うと丸みを帯びている部分は歯垢(プラーク)は付着しないため、磨くことを意識しなくても全く問題ない部分になります。

 全ての基本(持ち方)

持ち方はこのように指で持つことをお勧めします。

理由として、細かい動きをするのに適しているということと、磨くためにはいろいろな方向に歯ブラシの角度を変える必要があるからです。持つ位置のポイントとして、歯ブラシの毛の部分からある程度距離を保つことも角度を変えるためには大切です。

間違った持ち方も例として見ていきましょう。

このような持ち方だと細かい動きができなかったり、自分の利き腕とは反対側を磨くときはかなり無理な体勢になってしまいとても磨きづらくなってしまいます。

汚れを取り残さないためのちょっとした工夫

ラークを効率良く落とすためには、プラークというものを知り磨き方のちょっとしたコツが必要です。まずはそれを以下に解説していきます。

まずは鏡で見ることから

あなたは自分の顔に化粧をするときに鏡を見ないことはないはずです。自分の髭を剃っているとき、鏡をみてチェックするはずです。実は歯磨きも同じなのです。実際に目で見ることができれば、それだけで質は劇的に変わります。

一本一本目磨いた場所を目で確認しながら進めていく習慣をまずはつけましょう。

たくさん一度に磨こうとしないこと

歯列はとても複雑な形をしています。これを一度にまとめて磨こうとするとどうなるでしょうか。

1番外側の面には歯ブラシが当たっていますが、くびれている部分には全く歯ブラシが当たっていません。このことからわかるように、ほとんどの人がしているまとめて磨く行為から変えていかなくてはなりません。

歯は「1本1本磨くもの」です。これをしっかりと患者さんに伝えて意識を変えるようにしていきましょう。「まとめて磨く行為」を1日に毎食後3回行うよりもしっかりと「1本1本磨く」行為を寝る前に1日1回行えば確実に歯は守られていきます。

磨く順番は一連の動作で

「左奥歯を磨いた後に右奥歯」とあちこち磨く場所が変わってしまうと、どの歯がまだ磨けていないのかわからなくなると思います。

そんな時は全ての歯を一連の動作で磨いていくという工夫をしていきましょう。写真をまず見てください。

これは一つの例ですが、右上の奥歯から磨く方法です。このように磨く順番を決め一連の流れで一本一本磨いていくことで磨いた場所がわかりやすく、磨き残しが少なくなると思います。

ほとんどの人がしている間違った歯の磨き方(角度)

「歯を磨いてください」と言ったときに、ほとんどの人がしてしまっている間違った磨き方を解説します。まずは側面から見た写真です。

このように歯ブラシが当たることになります。これまで説明してきた場所(必ず磨かなくてはいけない場所)にまったく毛先が当たっていないことがわかります。

次に歯肉の近くの汚れを意識したときにほとんどの人が行なってしまう磨き方がこれです。バス法と呼ばれるもので、歯の歯軸に対して45°に歯ブラシをあてる方法です。

この方法だと歯垢(プラーク)が付着している部分に当たらない三角形ができているのがわかります。

よく歯科衛生士さんが患者さんに説明するときに「ここに歯周ポケットというものがあり、その中に入るように磨きましょう・・・」という人も少なくないですが歯ブラシの毛先の束はとても大きいので歯周ポケットの中にはほとんど毛先は届きません。

実際に普段のセルフケアで最も大事なことはポケットの中の歯垢(プラーク)をとることではなく、ポケットより上の歯垢(プラーク)を常にとることが最も大切です。歯周ポケット内の歯垢をとることができなくても歯周病は改善していきます。

それでは最も効率良くプラークがとれる歯ブラシの当て方を見ていきましょう。

くびれている部分に対して垂直に歯ブラシが当たっていることがわかります。プラークが付着している場所に毛先を90°に当てることが大切です。最初は練習が必要ですが、できるようになればとても効率良くプラークを除去することができます。

この磨き方は意識すれば誰でもできることですが、意識しなければ絶対にできないことなので必ず頭に入れておきましょう。

ほとんどの人がしている間違った磨き方(動かし方)

次は歯ブラシの動かし方について学びましょう。良く行ってしまう間違った動かし方として、「大きな振り幅」で動かしてしまうことがあげられます。

このような状態です。先ほど説明したように歯は1本1本磨くことが基本です。最も効率良くそれぞれの歯にあてることができ、プラークを落とすことができる振り幅は5㎜〜1㎝です。

どんなに当て方が良くても、動かし方が雑になってしまうとまったく意味が無いのでしっかりと癖づけて無意識に動かせるようにしていきましょう。

ほとんどの人がしている間違った磨き方(力加減)

歯にあてる歯ブラシの力加減も上手な磨き方の大事なポイントです。強い力で磨いてしまうと歯ブラシの毛先はどうなっているのでしょうか。側面から見てみましょう。

毛先が曲がって外を向いていることが分かります。そして、またしても磨けていない部分ができていることがわかると思います。次は上から見てみましょう。

同じように毛先が外側を向いていることがわかります。他にも強い力で磨き続けると起きてしまうことをあげておきます。

  • 歯ブラシが駄目になり、使えなくなる時期が早まってしまう
  • 歯が摩耗してしまう
  • 歯肉に傷がついてしまう

などが起きるので注意が必要です。

次に正しい力加減を見てみます。歯ブラシを平面に当てるとこのようになります。

毛先が外側を向かず真っ直ぐであることがわかります。正しい力加減は図のように「二本の指を使って歯ブラシを磨く強さ」が目安となります。歯ブラシさえあれば気軽に確かめることができる方法なので是非やってみてください。

歯の形を分ければ磨くことが簡単になる!?

歯の形は複雑ですが、複雑な形を上から見たときにそれぞれを面で分け単純化することで、磨かなくてはならない面や順番を意識することができ、格段に磨きやすくすることができます。これは8face technique (エイトフェイス・テクニック)といいます。 (愛知県一宮市 前岡歯科医院提唱)

歯を上からみたときに歯の形を8面に分けます。

この内6面に歯ブラシを効率良く当てていくのですが、当て方もただ闇雲に当てるわけではありません。歯ブラシの毛先の位置を、

  • つま先
  • 真ん中
  • かかと

に分けてそれぞれを当てていきます。ここで行うのが 奥の面(遠心側)=つま先 手前の面(近心側)=かかと の法則 です。奥歯(臼歯部)は特に歯並びが重なっていなければ、ある程度は上手に磨くことができます。

まずは奥の面(遠心側)=つま先 でみていきましょう。もし、「かかと」で奥を磨こうと思うと隣の歯が邪魔してこのようにうまく磨くことができないのです。

しかし、「つま先」を使うとどうでしょうか?

 

このようにしっかりと無駄なく当てることができます。次に手前の面(近心側)=かかと をみていきましょう。もし手前を「つま先」で磨こうとするとこのようになります。

先ほどと一緒で上手く歯ブラシが当たっていません。次は「かかと」を使ってみます。

先ほどに比べて無駄なく歯ブラシが当たっていることがわかります。ここまで解説した方法は慣れるまで時間がかかりますが練習すれば必ずできるようになりますのでしっかり身につけてください。

 

基本的な歯ブラシの選び方

一概に歯ブラシといっても、現在かなりの種類の歯ブラシが売られていてヘッドの形も、毛先の硬さも様々です。

中にはタフト型(山切りカットされているもの)などがありますが、これら複雑な形のヘッドの歯ブラシは歯列が重なっている部分や細かい部分を磨こうとしたときに磨き残しが多くなります。

また、市販されている毛先の硬さが”軟らかめ”の歯ブラシを使うとプラークの除去効率が落ちてしまう他、すぐに毛先が開いてしまい早い時期に歯ブラシを変えなくてはならなくなってしまいます。

もし選ぶなら上のようなシンプルな歯ブラシ。「ストレート型」を選ぶようにしましょう。この型の歯ブラシが最も効率良くプラークを除去することができます。

そして毛先の硬さは「やや硬め」で毛の幅はあまり大きくないものにしていきましょう。毛の幅が大きいとヘッドの大きさが大きくなりすぎてしまい「1本、1本丁寧に磨く」ということが難しくなってしまいます。

まとめ

今回は歯の磨き方を細かく解説してきましたがいかがだったでしょうか。学校でも”歯の磨き方”はここまで詳しく教えてもらえなかったと思います。そして歯を磨くことはとても奥が深いと思ったのではないでしょうか。

下の画像は100%歯磨きを達成するためにプラークの染め出しを行った画像です。磨いた時間は約5〜6分くらいです。

磨き残しがほとんどないことがわかります。このように歯の磨き方をしっかり学び、まずはあなたが自分の歯を磨けるようになることがとても大切だと思います。それができて初めて、患者さんに詳しい磨き方を教えることができ、歯を守ることができると思います。

もしあなたがブッラシング迷ったときはこの記事を何度も読み返してみて復習してください。あなたの臨床の一助になれば幸いです。

では今回は以上です。

 

 

 

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