血液型はA型、B型、AB型、O型の4つに分類されていることは誰でも知っていますよね。この分類法は生物界では「ABO式血液型」と呼ばれます。
これら4つの型にはそれぞれ違いがあって、間違った組み合わせで輸血をしてしまうと、重い副作用を起こすことがあります。
今回はこれら分類方法から輸血ができる組み合わせ、副作用が起きる理由まで、できるだけわかりやすく解説していきます。
血液型は難しいイメージがですが、一度覚えてしまえば簡単で今後応用も効きます。この記事で図を見ながら一気に覚えてしまいましょう。
目次
ABO血液型の違いって何!?
ABO式血液型の違いには大きく分けて「抗原:こうげん」と「抗体:こうたい」の二つが血液中に含まれていることが挙げられます。次に解説していきます。
血液型の抗原の違い
A型、B型、AB型、O型の分類は、血液中の「赤血球」が関係しています。赤血球の表面には、血液型によって、それぞれ違った抗原(こうげん)というものがついています。
別の言い方で凝集原(ぎょうしゅうげん)とも言います。凝集原の原は抗原の「原」と覚えてください。
抗原には「A抗原」、「B抗原」の2種類があります。
あまり難しく考えず、ここでは図のよう赤血球表面にアクセサリーがついているだけと考えてください。
A型には丸いアクセサリーのみ、B型には三角のアクセサリーのみがそれぞれついています。
AB型の赤血球はA、Bどちらの抗原も持っているため、丸いアクサセリーと三角の両方のアクセサリーを身につけています。
一方、O型の赤血球はA抗原もB抗原も持たないため、アクセサリーは何もつけていません。
元々O型のOは、0(ゼロ)という意味からO(オー)になったと言われています。アクセサリーが0でO型と覚えれば、覚えやすいと思います。
A型、B型、AB型、O型の違いはこのアクセサリー(抗原)のどれをつけているかということだったんですね。
血液型の抗体の違い
ここまでで、それぞれの型の抗原の違いは理解できたと思います。あと一歩深く理解するためには、抗原に反応する抗体(こうたい)がとても重要です。
A型、B型、O型、の血漿にはそれぞれ違った抗体が入っています。これらは凝集素(ぎょうしゅうそ)ともいいます。
凝集する素(もと)が、この抗体です。種類は、A抗原に反応する「抗A抗体」、B抗原に反応する「抗B抗体」の2種類があります。それぞれα(アルファー)、β(ベータ)と呼ぶこともあります。
A型の人の血液には「抗B抗体」、B型の人の血液には「抗A抗体」が入っています。
そして、抗原が0だった、O型の血液には、抗A抗体と抗B抗体のどちらも含まれています。A、B2つの抗原を持っていたAB型の血液中には抗A抗体も抗B抗体どちらも含まれていません。
CHECK POINT
- A型、B型は自分の血液に反応しないために、それぞれ別の型の抗体が入っている
- 赤血球表面に抗原をもたない場合、抗体は多くもっている
抗体は、標的の抗原にだけ反応する性質があります。抗A抗体であれば、先端の形がA抗原と同じ形。抗B抗体であれば先端の形がB抗原と同じ形をしています。
これら標的となる抗原に反応し次々と結合し凝集します。この反応を「凝集反応」といいます。 抗原と抗体の反応というと、外来からの微生物や異物への反応を思い浮かべるかもしれません。
ですが、赤血球などの細胞に抗体が反応して塊をつくることも抗原抗体反応の一種なのです。
抗原、抗体がある場所って?
体を流れている「血液」は、人の体重の約8%を占めます。その血液を試験管に取り出し放置すると、下の方の「赤い塊」と、「黄色い半透明の液体」の上澄みに分かれます。
下の赤い塊の部分は、細胞成分(さいぼうせいぶん)といい、黄色い半透明の上澄みを血漿(けっしょう)といい、抗体はこの中のタンパク質に含まれます。
その他、血漿の成分ですが、水、アルブミンやグロブリンといったタンパク質、糖類、無機塩類、老廃物などです。
血球成分は全血液の45%を占めます。赤血球、白血球、血小板などからなります。赤血球は血液細胞の一種で、酸素を運ぶ役割を果たし血球成分全体の約90パーセントを占めます。
白血球は細菌の捕食などを行います。割合は全体の約8%。止血作用のある血小板は全体のわずか1%です。
CHECK POINT
・ABO式血液型に関係する赤血球は血球の中でも大部分を占める
・血漿に抗体が含まれる
輸血ができる血液型の組み合わせと理由
A型、B型、AB型、O型の赤血球と血漿にはそれぞれどの抗原、抗体が含まれているのかが理解できたと思います。では、ここからは具体的に、それぞれの組み合わせで輸血をした場合どうなるのかということを見ていきましょう。
輸血にはO型の人が不利!?
例えば、A型の人の血液にB型の人の血液を混ぜた場合どうなるのでしょうか。輸血される側の、A型の血漿中には大量の抗B抗体が入っています。
この抗B抗体と輸血する側(ドナー側)のB型の赤血球表面のB抗原とが反応してしまい、血液の凝固を引き起こします。
この凝集反応が起きる血液同士の組み合わせを「輸血不適合」といいます。
これら一連の反応は、他の血液型の場合も同様に起こります。B型の血液にA型の人の血液を輸血すると、抗A抗体が、A抗原に反応し凝集します。
O型にいたってはA、B両方の抗体をもっている血液ですので、O型以外の人の血液全てで凝集反応が起こります。このため、O型の人はO型の人のみからしか輸血を受けることができないのです。
逆にAB型の人の血漿中には抗A抗体、抗B抗体どちらもありません。そのため凝集は起こらず、誰からも輸血を受けることができます。このように型は違えど輸血可能な組み合わせもあり、この血液を「異型適合血」といいます。
輸血の際に血液型を合わせることは大原則ですが、例えば大量出血により患者の血液が足りなくなるような場合にこの「異型適合血」で輸血を行うことがあります。
以上のことから、輸血を受ける際は必ず、血液型を合わせなければいけないということがおわかりいただけたと思います。
もし不適合輸血をしてしまった場合、
- 発熱・悪寒・嘔吐
- 疼痛
- 興奮・錯乱
- 紅潮
- 呼吸困難
などの副作用が起こるため、直ちに輸血を中止します。
O型、AB型の人のメリット・デメリット
O型の人は輸血を受ける際に、O型の人からしか輸血を受けることができないと解説しました。ですが、O型の血液を輸血するには有利です。
O型の血液中の赤血球表面にはA抗原、B抗原はありません。ですので、O型以外の血液にO型の血液を輸血する場合、抗体と反応する抗原を持っていないため、輸血しても問題はありません。
逆にAB型の人はA抗原、B抗原を持っているため、抗原抗体反応が起こってしまうためAB型以外の人に輸血することができません。
輸血の適合、不適合の表は以下の通りです。
CHECK POINT
・O型の人はO型の人からのみからしか輸血を受けることができないが、A型、B型、AB型 の人に輸血することがでる
・AB型の人は誰からも輸血を受けることができるが、AB型以外の人に輸血することができない
ABO式血液型の遺伝
ABO式血液型はメンデルの法則で遺伝します。AとBに優勢はなく、AとBはOに対して優勢です。これらを親から一つずつ受け取るので、表現型A型の遺伝子は、AAとAO。B型ではBBとBO。O型はOOのみ。AB型はABのみとなります。
血液型の出現頻度は、日本人の場合A型は40%、O型30%、B型20%、AB型10%程度となります。
メンデルの法則
親の形質は遺伝子によってある規則性をもって子、孫に伝わるというもので、遺伝学を誕生させるきっかけとなった法則。
まとめ
いままでのことをわかりやすく表にしてみました。
ABO式血液型を判定するには、A型血液の血清とB型血液の血清を準備して、そこに赤血球を付着させ、凝集反応を観察することによって、判定することができます。
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