あなたが毎日している虫歯予防のための歯磨きはしてはいけないこと、知っていますか?毎日歯磨きを一生懸命にしていても、歯医者に行ったら虫歯を指摘されて、同じ場所が虫歯になっていた!なんて経験がある人もいるのではないでしょうか。
これは虫歯予防の間違った知識が原因です。一度失ってしまった歯は2度と再生せず、元に戻ることはありません。虫歯を放置していると痛みが出てきたり、将来抜歯なんてことも‥。
今回は虫歯を予防するための落とし穴、大事なポイントを詳しく解説していこうと思います。虫歯予防の間違った知識を正してあなたの掛け替えのない歯を守るための手助けになれたらと思います。
周りの人は決して教えてくれない、虫歯と歯磨きの関係。それでは解説していきます。
目次
9割が間違っている、歯磨きの目的とは?
まずは多くの人が間違っている、歯磨きをする目的について解説していきます。歯磨きは食事をした後の食べカスをとるために行うものではありません。食べた後の食べカスをとるためだけに歯磨きを続けていると将来あなたの歯は確実に病気になります。
では歯磨きの本当の目的はなんでしょうか?答えは、歯の周りについたプラークを(歯垢)をとるためです。
このプラークは細菌の塊で、歯周病(歯槽膿漏)の原因となる菌が多く含まれています。歯磨きをする理由はこのプラークを除去して歯周病を予防するために行います。
プラーク中には歯の表面を溶かしたり、虫歯を進行させる菌が含まれています。しかし、歯の表面に多少ついているだけでは、虫歯に関してはあまり問題になりません。「歯磨きをしてプラークを除去することは、歯周病を予防するため」と割り切って覚えてしまいましょう。
また歯磨きをしていても虫歯になることがあります。その理由を解説していきます。
歯磨きをしても虫歯になる理由【その1】:虫歯の原因は菌だけではない
歯の表面についている、プラークの中に約700種類の菌がいてその中の数種類が歯の表面を溶かす酸を出します。それらの菌が口の中に多いということは確かに虫歯のリスクの1つとなります。ただし、このプラークが多いだけでは虫歯になることはありません。
虫歯になるリスクとなるものは複数あってそれらが、虫歯から歯を守る力(唾液の質、量、フッ素など)を上回ったときに虫歯になります。以下に虫歯のリスクとなるものをまとめました。
- 細菌の数が多い
- 間食をしている
- 甘いものを好む
- 唾液の量が少ない
- 唾液の中和力が弱い
- 治療中の歯を放置している
- フッ素入りの歯磨き粉、洗口剤を使用していない など
虫歯のリスクが総合的に高い人は左側に傾き虫歯となります。このバランスが重要です(脱灰と再石灰化については次の項目で詳しく説明します)。
たとえプラーク(細菌)の量が多くても、”虫歯から歯を守る力”の方が上回っていれば虫歯になることはありません。逆に菌の数が少なくても、他のリスクが高ければ虫歯になることがあります。
虫歯になる原因についてはもっと知りたい方は誰もが間違っている!?本当の虫歯(う蝕)の原因と予防法を完全網羅を参考に。
たくさんのリスクが重なり、総合的にリスクが高い人が虫歯になる可能性が高くなります。虫歯については歯磨き以外の原因に目を向けることが必ず必要です。
歯磨きをしても虫歯になる理由 【その2】 :歯磨きしても歯が溶ける!?
虫歯予防を考えるときに、歯磨きよりも大切なことがあります。これには口の中の酸性度PH(ペーハー)が関係しています。
歯の表面では、食事をするたびに”脱灰(だっかい)”と”再石灰化(さいさっかいか)”という現象が繰り返しおきています。飲食物が口の中に入ると、それらを元に菌が酸を作り出します。
この酸により、歯の表面のプラーク、唾液などの酸性度が高くなり歯の表面が溶け出します。これを脱灰といいます。図でいうと下の部分です。
脱灰の時間が長くなることで歯の表面が溶け出します。これが虫歯の始まりです。
脱灰が起きると、唾液の中和する作用によって高くなった酸性度を元に戻そうとします。これを再石灰化といいます。例えば甘いものを食べても虫歯にならないのは、脱灰の時間が長く続く前に歯の表面で再石灰化が起きているためです。
この脱灰と再石灰化のバランスさえ崩れなければ虫歯になることはありません。
脱灰はさけることができない
虫歯にならないためには、脱灰がおきないようにすれば良いのですが「脱灰は必ず起きるもの」と思ってください。
これは一例ですが、歯科医院で一度も歯磨きの指導を受けたことが無い人は、丁寧に歯磨きをしても写真くらいは歯と歯の間、歯ぐきの近くにプラークが残っていることが多いです。(写真はプラークをわかりやすくするために赤く染めだしています)
このように磨き残しがあるかぎり、必ず脱灰します。
何度も歯磨きをしなくても良い理由とは
細菌はいつも直接はに穴を空けているわけではありません。「あなたが食べたものを食べる」といったイメージです。飲食をしなければ脱灰はしないこと。脱灰は必ずおきてしまうことから、虫歯予防としてのあまり必要の無い歯磨きをすることは控えること。
歯磨きができていると勘違いして、ついつい油断して間食を頻繁にしてしまったり、その他の虫歯のリスクへの対応がおろそかになってしまうこともあり得ます。
もし歯磨きをするなら、毎回飲食をする前にプラークを徹底的に除去して細菌の数を0に近づけることですが、それは現実的に難しいかもしれません。
ただし、間違ってはいけないことして歯周病(歯槽膿漏)を予防する目的で質の高い歯磨きは、1日、1回は寝る前に必ず必要です。「3回の磨き残しがある歯磨き」よりも「1日1回の質の高い歯磨き」です。
子供の頃からの歯磨きも必要が無い!というわけではありません。幼い頃から丁寧な歯磨きの習慣が身についていると、将来口の中の細菌の数を少ない状態にたもつことができますし、歯ぐきの腫れ(歯肉炎)や歯周病を減らせることに繋がります。
歯磨きをしても虫歯になる理由【その3】 虫歯予防でとても大切!”飲食頻度”
脱灰と再石灰化のバランスが崩れて脱灰の時間が長くなると虫歯になるという話をしました。ではどんなときに一番脱灰側に傾いて酸性度が高い状態が続いてしまうのでしょうか。
答えは、間食を頻繁にしてしまうことです。
飲食をして一度脱灰している状態から、中和されて再石灰化する前に食事をしてしまうとまたすぐに脱灰します。これが続くことで脱灰の時間が長くなっていることがわかります。これが最も虫歯に近づいている状態です。
一生懸命歯磨きをしていても間食をしたり、ジュースのダラダラ飲みをしていれば虫歯のリスクが高まるといえます。
砂糖じゃなくても虫歯になる!?
砂糖などの糖分を摂取しなければ脱灰もしないしOK!と思う人もいるかもしれません。しかし虫歯の原因となる菌によって砂糖以外、例えば日本人が多く摂取する炭水化物(穀物、米など)に含まれる成分なども分解されることで酸を出すことがわかっています。
したがって砂糖を摂取しなければ良い!という考えはできません。「食事をしない」なんてことはできないですよね?
歯磨きをしても虫歯になる理由 【その4】: “脱灰”と”再石灰化”のスピード
図を見ると飲食によって、すぐに脱灰が始まっているのがわかります。これは食事をした後に歯磨きをしたのでは遅い!ことを意味しています。
またpH(ペーハー)が低くなった後におきる、脱灰から歯を守るために重要な再石灰化。この再石灰化には弱点があります。脱灰するスピードに比べかなり遅いことです。
いくら歯磨きをしても、再石灰化には約1時間かかることを頭にいれて脱灰側にできるだけ傾かないような工夫が必要です。
まとめ
今回の記事で大切なことをまとめました。
- 虫歯はたくさんのリスクが重なり合って、虫歯になる環境が整ったときに虫歯になる
- 歯磨きを何度もするよりも、脱灰と再石灰化のバランスを考えることが重要
- 飲食を避けることはできないが、飲食をするたびにおきる脱灰も避けることができない
- 食事の頻度が多いと虫歯になる
これらのことから、虫歯予防に関して言えば何度も歯磨きをして頑張るというよりは、いかに脱灰の時間を減らすことができるか、虫歯にならないための総合的なリスクを減らすことが重要です。
今回の記事で、歯磨きをしているのに何度も同じ場所が虫歯になる、または治療をしている!という人が別の視点で虫歯予防を考えるきっかけになれたらと思います。
今回は以上です。
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