あなたやあなたの周りの人で、「滑舌が悪い」ことで悩んでいる人は意外と多いと思います。そもそも滑舌が悪くなってしまう原因は、いったいどこにあるのでしょうか。
理由として人は言葉を喋るとき、主に舌を使いながら発声します。この舌の筋肉が弱かったり、間違った舌の癖がついてしまうと結果としてとても聞き取りづらいような発音になっていきます。またこれら舌の機能は、発音だけでなく飲み込む動作や姿勢にも影響を与えていきます。
そんな発音の悪さを最も効率良く治すためには、まずは舌のどこに問題があるのかを知る必要があります。そして、その問題がある部分にMFTと呼ばれる「舌のトレーニング」をしていく必要があるのです。
今回の記事で解説する”基本的な舌のトレーニング”を実践すれば、舌のどこに問題があるのかを見極めることができます。どのレッスンも簡単で安易に手に入る器具ばかりを使うので、すぐに試してみることができるはずです。
それではいきましょう。
目次
滑舌を良くする唯一の方法
発音が悪い人、いわゆる舌足らずの人のタの発音を見てみます。
上の画像のように、正常の人は舌た上顎にピッタリとついているのに対し、うまく発音できない人は舌を歯と歯の間から出してしまう特徴があります。このように、発音が悪い人の”舌の機能”や”癖”を改善していく舌のトレーニング方法をMFT(口腔筋機能療法)と呼びます。
MFTは元々、舌を出してしまう悪い癖や、口がポカンと空いてしまう”口呼吸”を治療するためにも使われる方法で、これらは発音だけでなく歯並びにも影響してくることもあるのです。
舌のトレーニングをいざ始めようとしたとき、舌の「どの部分」の機能に問題があるのかをまずは知る必要があります。どこに問題があるのかがわからない状態でただ闇雲にトレーニングを行っても全く効果はありません。
もしMFTについてさらに知りたければ、歯並びが良くなるMFTとは?歯科のプロが分かりやすく解説の記事を読んでみてください。
問題を見つけるためにまずは必要なこと
舌の問題点を見つけるにあたり、「舌の場所を4つに分けること」から初めていきます。舌の場所を4つに分けることで、どの部分に問題があるのかをよりわかりやすくするためです。
この画像の通り、舌は上から見ると
- 舌 尖端
- 舌 中央
- 舌 側方
- 舌 後方
に分けることができます。これからその場所にあった簡単なMFTのトレーニングをすることでどの程度できるのかを観察していきます。「どの部分の筋肉をうまく動かすことができない」のか「どの部分の筋力が足りない」のか、などを注意して見ていってください。
舌の先と側面の機能が正常か見分ける”スキニーアンドファットタング”
スキニーアンドファットタングは、①舌の尖端と③舌の側方の機能を使ったレッスンです。もし、できなければこれらの部分を鍛えるようなトレーニングが必要になるということになります。
- 口を大きく開けます
- 舌を真っ直ぐ前に出し、10秒間維持します【スキニータング】
- 舌の真ん中を少しへこませながら平らにして10秒間維持します【ファットタング】
- 2〜3を繰り返します。
注意する点として、
- スキニータングのとき、舌は真っ直ぐ出せているか。
- ファットタングのとき、力が入って舌が細くなり折れ曲がっていないか。
などをを注目してみていきます。2〜3回行うことでできているか、できていないかを判断することができるでしょう。
もしこれらのトレーニングがうまくできない場合は舌の側面の動きがうまく機能していない可能性があるので、咀嚼の効果は舌で決まる?歯医者が教えるMFTを使った舌側方のトレーニング方法【基本編】を参考にしてみてください。
舌の先の機能に異常がないか見分ける”ティップ”
ティップも同じく①舌の尖端の機能を主に使います。
- スティック(大)を利き手で持ちます。
- 口の前にスティックを持っていきます。
- 口を大きく開けます。
- 舌を引き締め、尖らせるようにしてまっすぐ舌を出します。
- スティックを2秒間押します。
- 2秒間力を抜いて舌を休ませます。
- 4〜6を繰り返します。
- 舌の腹や裏側でスティックを押していないか。
- 舌以外の唇の周りの筋肉に力が入っていないか。
などを注意して見ていきます。うまくいかない人は舌の先をうまく使うことができないので舌全体で押そうとしたり、舌以外に力が入ってしまうのが特徴です。また「2秒間」押せるかどうかもしっかりと見ておきます。
もしこのトレーニングができない場合は、滑舌を改善させる唯一の方法、舌の先を使ったMFTのトレーニング 実践編のトレーニングの対象になりますので参考にしてみてください。
舌中央の機能が正常か見分ける”ミットアンドスティック”
ミットアンドスティックは②舌中央の機能を主に使います。
- 口を大きく開けます。
- スティック【大】を持ち、舌の真ん中にあてます。
- 舌の真ん中でスティック【大】を2秒間力いっぱい押し上げます。
- 2秒間完全に力を抜いた状態で舌を休ませます。
- 3〜4を繰り返します。
- スティックを押し上げるときに舌の中央で押し上げているのか。
- 前に押し出すようにスティックを押していないか。
- スティックを押し出すとき舌の前歯に触れながら押し出していないか。
などを確認しながら見ていきます。舌の筋肉が弱いと真上に押し出すことができずに、周りの歯に触れながら舌を出すように押してしまいます。舌を持ち上げる際、顎も同時に閉じながら持ちあげていないかも確認しておきましょう。
舌先の機能やコントロールを見分ける”リップトレーサー”
リップトレーサーはスキニーアンドファットタングや、ティップと同様に①舌の尖端と②舌の側方の機能を使うレッスンです。
- 大きく口を開けます。
- そのまま右の口角を舌の先で触れます。
- ゆっくり10秒数えながら唇を1周して舐めていきます。
- 2〜4を左右交互に繰り返します。
- 舌が口の周りを1周できているのか。
- 舌をいろいろな方向に動かしていないか。
- 舌を早く動かしてしまっていないか。
などを注意深くみていきます。口を大きく開けるのと、あまり開けないのでは難易度が変わってしまいますので、必ず口は大きく開けてもらうようにしましょう。
舌の後方の機能が正常か見分ける”ガーグルストップ”
ガーグルストップは④舌の後方を使うレッスンです。
- 水を口に含み上を向きます。
- 上を向いたままガラガラうがいを3〜5秒間行います。
- 上を向いたままうがいを止めて何度か鼻で呼吸を行います。
- 2〜3を5回、繰り返し行います。
- 水を吐き出します。
今回は、ある程度できるかどうかを見れば良いだけなので、水は大きめのスプーン1〜2杯の水で良いと思います。うがいをしてから鼻で呼吸をする動作が5回もできない場合、何回できているのかも確認しながら見ていきます。
ガーグルストップはできる場合とできない場合がはっきりするトレーニングですので、できない場合は水を含んだまま上を向くこともできません。それをわかったうえで確認をしていきましょう。
まとめ
今回はMFTを使った舌の問題の見極め方についてお話してきましたがいかがだったでしょうか。問題を見極めることができたら、それぞれに対応したレッスンを参考に行ってみるといいでしょう。
但し、指導者が、常に「目的意識」をもってそれぞれのレッスンを決めて行っていかなければならないということと、自己流で進めてしまうと間違ったやり方や、トレーニングの効果も半減してしまうので必ず歯科医師や歯科衛生士と一緒に行っていかなければなりません。
また今回行ったベーシックレッスンは、”どのMFTのトレーニングが必要なのかのふるい分け”のために行うと解説しましたが、
- 本格的なレッスンを行う前の軽い練習や動きに慣れてもらうこと
- MFTはどんなものかを知ってもらうきっかけ
にもなれたらと思います。
今回は以上です。
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