プロが教える、歯ぎしりの特徴と治すための4つの方法

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あなたは自分が「歯ぎしりをしているかも?」と考えたことはありますか?

歯ぎしりをしているかもしれないけれど、自分がしているかがわからないという人も多いと思います。

歯ぎしりは放っておくとあなたの歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。今回は、歯ぎしりをしている人に多い特徴を9つのパターンに分けました。

歯ぎしりをしている可能性がある人の特徴を理解することで、あなたが歯ぎしりをしている可能性がが高いのか、低いのかを是非判断してみてください。

また、歯ぎしりを治すために大切なこと、自宅でできる4つの方法についても解説していきます。

歯ぎしりは自覚している人が少なく、対策もわかりにくいことから今回の記事はとても参考になると思います。

それでは、順番にチェックしていきましょう。

一度でもされたら危険!?周りからの指摘

「歯ぎしりをしているかも」と、歯医者、家族や周りの人に指摘されたことがあるなれば、あなたは歯ぎしりをしている可能性が高くなります。

なぜなら歯ぎしりは無意識で行うため、している本人は気づきにくいのですが、大きな音が鳴ったり「特有の所見」が口の中にみられるからです。それらを周りの家族や、歯医者が指摘することで気づく人が多いのです。

歯がかなりすり減っている

鏡であなたの歯を見たときに、歯がすり減っていないか確認してみてください。歯が全体的にすり減った場合、先端から徐々にすり減りますので歯の先が徐々にまっすぐになります。すり減りが大きいと写真のように全体の歯の形が変わってしまうこともあります。

ここまですり減っているのは極端な例ですが、歯の一定の部分がすり減っていないかもみることが大切です。特に歯の前から3番目(犬歯)、その周囲の歯がすり減ることがとても多いので鏡などでチェックすることを忘れずに。

舌や頬の内側に歯の後がついていないか

歯と歯を横にこすり合わせて歯ぎしりをしていると、舌に歯が食い込み痕がつくことがあります。写真をみると、舌の横が歯の圧痕によってギザギザしているのがわかると思います。

また歯と歯をこすり合わせた痕は、舌だけではなく頬にも痕が残ることもあります。

このように頬にも歯が押しあてられたような痕が同時についている場合、後に解説する”歯ぎしり型”か”咬みしめ型”の歯ぎしりを行っている可能性がるので覚えておきましょう。

肩こりや頭痛が頻繁にある

歯ぎしりをしていると、肩こりや頭痛を誘発することがあります。これは歯ぎしりをするとき「脳から筋肉に異常な活動指令が出され、顎を動かすための筋肉だけでなく頭、肩などの筋肉も疲労性の痛みを起こすため」といわれています。

特に朝起きたとき、顎の辺りがこわばっているような感じと合わせて、これらの症状が現れていないかを必ずチェックしておきましょう。

歯が割れたり欠けたことがある

歯ぎしりによって強い力が歯にかかると歯が欠けてしまったり、割れてしまうことがあります。例えば転倒などで前歯に強い衝撃が加わると割れてしまうことがありますが、歯ぎしりでは咬み合わせによっては奥歯にも負担がかかることになります。そのため奥歯が写真のように割れてしまうことも多いのです。

歯が割れてしまった場合、歯医者で行う治療は「歯を抜くこと(抜歯)」になる可能性も高くなるので要注意です。

歯の根元が欠けている

歯の先端だけではなく、歯の”根元”に力が集中することで、えぐれたように歯が欠ける可能性があります。

この根元が欠ける部分も「前から3番目の犬歯」や、その周囲の歯に現れることが多いのが特徴です。この部分に強い歯ブラシ圧がかかると痛みが出たり、さらにすり減りやすくなります。

虫歯がないのにしみることがたびたびある

歯ぎしりをしている人は虫歯でもないのに歯がしみることがあります。これは”知覚過敏”といい、先ほど説明した歯の根元が欠けたときに同時に起きやすくなります。

歯の一番表面は”エナメル質”という白くて硬い素材に覆われています。その下に”象牙質”という素材があり、歯が欠けることでこの組織が外側に露出します。

この象牙質に冷たい水などの刺激が加わると、歯の中の神経にその刺激が伝わりとても染みてしまうのです。歯が欠けることがある歯ぎしりでは、この知覚過敏の症状が出やすくなります。

集中しているときの癖をみる

起きているとき、歯ぎしりはいつしているのでしょうか。その一つに「何かに集中しているとき」や、「緊張をしているとき」に多いことがあげられます。

このときの歯ぎしりは、歯の”咬みしめ”を行っていることが多く、顎を横に大きくスライドさせるようなことはありません。普段の生活で歯の”咬みしめ”をしていないか思い出してみてください。

歯の咬みしめだけでは音が出ないこと、無意識に行うことも多いということで歯ぎしりが自分では発見しづらい原因にもなっています。

被せ物がたびたび外れる

歯ぎしりによって歯に強い力がかかると、歯の被せ物が外れてしまうことがあります。特に保険の金属で歯を治療した日から長い年月が経っている場合は外れることが多いです。

被せ物をつけなおしても何度も外れたり、朝起きたときに外れていることが多い場合は歯ぎしりによって被せ物が外れてしまっている可能性がとても高くなります。

顎の関節の痛み

朝起きたときに、顎の関節辺りが痛いことがあったり、開けたときにカクカクと音がなっていないかを確認しておきましょう。これは”顎関節症(がくかんせつしょう)”といい、顎に過度な負担がかかることで起こる症状です。

歯ぎしりで顎に負担がかかったときは、顎の周りの「物を噛むための筋肉」にも痛みを伴うことが多いといえます。

歯ぐきの隆起がある

写真のように歯ぎしりをしている人は、歯ぐきがデコボコと盛り上がっていることがあります。

盛り上がる場所の多くは、写真のように舌と、歯の裏側が辺りです。これは歯ぐきが腫れているのではなく、歯ぐきの下の骨が増殖して隆起してきているためです。名前は”骨隆起(こつりゅうき)”といいます。

痛みが出ることはありませんので、すぐに治療を施すことはありませんが、入れ歯を作成する際や食べ物を食べる際に邪魔になってしまうときは削ることもあります。

ストレスがかかることが多い

歯ぎしりは、ストレスがかかることが多い人、ストレスがたまりやすい人がすることが多いと考えられています。もしあなたが普段の生活でストレスを感じることが多い場合、歯ぎしりをする可能性があるひとつの要因となります。普段からストレスをかかえすぎないように工夫をしていくことが大切です。

チェック項目から歯ぎしりの”種類”を予測する

歯ぎしりもいくつかのパターンに分かれます。僕もたくさんの患者さんを通してそれぞれの歯ぎしりのタイプに決まった特徴が多いことも理解しています。

もし解説してきた「歯ぎしりをしているかもしれない特徴」が多く、歯ぎしりをしている可能性が高いと思う場合、あなたがどの種類の歯ぎしりをしているかを知るための参考にしてみてください。

極度の歯のすり減りがある人が考えられるタイプとは?

鏡で歯をみたときに極度のすり減りがある人は、歯ぎしり型(グライディングタイプ)の可能性が高いです。強い力で歯を横にスライドさせることで、歯全体が平らになってきます。

特に咬み合わせの面が平らになり、象牙質が露出してきます。また歯の長さも短くなります。

歯が短くなることで、食べ物が食べにくくなったり詰め物がとれやすくなること。また、歯の根元が欠けてしまうことで、先ほど解説した知覚過敏になることも多くあります。

先ほどのチェック項目で以下のことにあてはまれば歯ぎしり型の可能性が高いかもしれません。

  1. 極度のすり減りがある
  2. 詰め物が外れる
  3. 歯の根元が欠けている
  4. 歯がしみる

頭痛や肩こりがある人は要注意なタイプ

頭痛や肩こり、朝起きたときに頬辺りの筋肉を指で押さえると痛みがある場合は咬みしめ型(クレンチングタイプ)の可能性が高いです。咬みしめ型は主に縦方向に強い力がかかることが特徴です。

またこのタイプは、咬みしめを長い期間行うことで歯を支えている骨が隆起することで、歯ぐきが盛り上がってくることが多いのも特徴です。

先ほどのチェック項目で以下のことがあてはまれば咬みしめ型の可能性が高いかもしれません。

  1. 肩こりや頭痛がすることがある
  2. 頬の辺りの筋肉に痛みがあることがある
  3. 歯が割れたことがある
  4. 骨の隆起がみられる
  5. 舌や頬の内側に歯の痕がある
  6. ストレスがたまりやすい

犬歯のすり減りがる人は要注意なタイプ

鏡で見たときに、前から3番目の歯(犬歯)が極度にすり減っていて、きしませることで「大きな音」を周りの人から指摘されたことがある人はきしませ型(ナッシングタイプ)の可能性が高いです。

一定の場所が極度にすり減っていないかを確認してみてください。また現時点でも歯ぎしりをしている人は歯の先端の欠けた部分がピカピカに光っています。

先ほどのチェック項目で以下のことがあてはまれば、きしませ型の可能性が高いかもしれません。

  1. 家族からの歯ぎしりの指摘
  2. 歯の一部分のすり減り
  3. 骨の隆起
  4. 歯の根元が欠けている
  5. 歯がしみる

歯ぎしりがある人は3つのタイプのうち、どれかひとつだけを行う「単独型」の場合と、2つ以上のタイプを同時に行う「混合型」の場合があります。また解説してきた歯ぎしりの特徴が、必ずこれらの歯ぎしりのパターンに分けられる基準ではないことも理解しておいてください。

“歯ぎしり”に対する治療法と対応策

それでは歯ぎしりに対する治療法と対応策を解説していこうと思います。

治療や対応をしていく前に、今まで解説してきた歯ぎしりをしている人の特徴や、歯科医院での診査などで歯ぎしりがないかをしっかりと確認し、自信に及ぼしている影響をしっかりと理解することから始めてください。

イメージ療法(自己暗示療法)

自分で歯ぎしりをしないようにコントロールすることはとても難しいですが、意識を変えていくことで少しづつ歯ぎしりを無くしていく方法は効果がある場合があります。

自分自身に「歯ぎしりをしないように‥」と何度も復唱し暗示をかけて、できるだけリラックスして寝るイメージを大切にしてください。

なかなかうまくいかない人は次のことを参考にしてみてください。

  • 普段生活している中で歯ぎしりをしていない、顎の力が抜けている状態をできるだけイメージして過ごす
  • 紙などに「咬みしめない、歯ぎしりをしない」と書いて普段目にする場所に貼っておき、日常生活の中でそれを見るたびに、思いを込めて唱えてみる
  • 日中は仕事場にいて難しい場合は、手帳、携帯電話などにメモしてふとした時に目につくようにしておく
  • できるだけストレスがかかること、場所を避ける

就寝時に注意すること

就寝時もただ単に眠りに入るのではなく、ちょっとした注意を守って寝ることで歯ぎしりが少しづつ改善できることがあります。

  • 一度体に力をいれて緊張状態にしてから、力を抜いて眠りに入る
  • 寝る前はできるだけ悩み事や考えごとをもちこまないようにする
  • 高すぎたり、楽な体勢で寝れないような枕、固すぎるベッドなどは避ける
  • 体にストレスがかからないような体勢で寝る
  • 深い眠りにするために、できるだけ昼寝などは避ける

食事をするときの注意

歯ぎしりをする傾向が強い人は、普段の食事のときから

  • 顎に力が入りすぎる
  • 食事の時間が短かったり、すぐ飲み込んでしまう
  • 硬い食材を好む

などが考えられます。それらにあてははまる人は次のことを注意してください。

  1. 硬すぎる食材を好んで毎日食べることは避ける
  2. 咬む回数を増やして、力を入れすぎず丁寧に咬むようにする

普段の癖を変えることから始めてみる

普段から顎に負担がかかるような、頬杖、肘をついたりすることを頻繁にしている人は要注意です。日常生活でこれらのことを多くしていると顎や周りの筋肉にストレスがかかり歯ぎしりを引き起こすことがあります。

頬杖、肘をつく癖、上下の歯を常に咬み合わせたり接触させるような行為はやめておくことが大切です。

歯をとりあえずは守ったり、音が鳴らないようにするための方法として”ナイトガード”というものを装着することがあります。ただし、根本の歯ぎしり自体を無くすことはできないので一時的な方法として頭にいれておいてください。

既製品も売られていますが、個人の歯に合ったものを、歯科医院で型取りして作成した方が個人の歯にフィットしてより効果的です。

 

 

オーダーメイドでナイトガードを作成しても毎晩装着して寝なければ効果は無いので注意してください。

まとめ

今回は自分が歯ぎしりをしているかわからない人が発見できるようにするための”歯ぎしりをしている人の特徴”を順番に解説してきました。今まで気にすることが無かった、「口の中の変化」に気づく人も多かったのではないかと思います。

今回の内容を復習すると

  • 歯ぎしりをしていると周囲の人に指摘されたことがある
  • 歯に極度のすり減りがある、または一定の部分がすり減っている
  • 舌や頬の内側に歯の痕がついている
  • 肩こりや頭痛が頻繁にある
  • 歯が割れたり、欠けたりしたことがある(歯の根元が欠けたり、しみることもある)
  • 集中しているときに咬みしめをしている
  • 被せ物が外れることがある
  • 顎関節に痛みがある
  • ストレスがかかることが多い

といったことがあげられます。そしてこれらを無くすためには

  • まずは意識を変えていくこと
  • 普段の生活で顎に負担がかかるような行動は避ける

ことが大切という話でした。歯ぎしりはしている人が多くいるのにも関わらず、自覚している人が少なく見つけることが難しいということを理解し、まずはその兆候が無いか探り意識から変えることが大切です

歯ぎしりの歯への影響、対策についてもっと知りたい方は歯ぎしりで歯を失う!?その症状と驚きの治療法、対策を歯医者が徹底解説の記事を参考にしてみてください。

今回は以上です。

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