咀嚼の効果は舌で決まる?歯医者が教えるMFTを使った舌側方のトレーニング方法【基本編】

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あなたは食べ物をうまく咀嚼できていますか?また、うまく噛むためには舌側方のトレーニングが大切なことを知っていますか?

まずは正しい咀嚼ができているかを知るために、次のことに当てはまっていないかチェックしてみてください。

 

  • 食べ物を噛んでいるときについ落としてしまう
  • 食事をしているときに音を立てて食べてしまう
  • 食べ物をあまり噛まずに飲み込んでしまう

 

もしこれらに当てはまるなら、あなたはうまく咀嚼できていないかもしれません。今回は正しい咀嚼するために重要な「舌の側面」を使ったトレーニング方法をできるだけわかりやすく解説していきます。

トレーニングには、MFT(口腔筋機能療法)といって、歯科医師や歯科衛生士が指導者になり、舌を使ったトレーニングを家で毎日行う方法を使用します。

またMFTを行うメリットとして「うまく咀嚼できるようになる」こと以外に、

  • 歯並びが良くなる
  • 「サ行」や「タ行」が言えないような舌足らずを改善する
  • 口が常にポカンと開いてしまい、口で呼吸してしまう癖を治す
  • 姿勢の悪さを改善する

などの効果もあります。もしMFTについてもっと知りたいならば歯並びが良くなるMFTとは?歯科のプロがわかりやすく解説を参考にしてください。

舌の側面が咀嚼、嚥下をするために大切な理由

食べ物は前歯で噛み切られた後、舌の側面によって外側に押され奥歯の上に運ばれます。その後物を噛んでいるときは、舌の側面で食べ物がこぼれ落ちないように支えます。

咀嚼はこれらを繰り返すことで行われていきます。下の画像の①、②の状態です。

それから噛み砕かれた食べ物は、③舌の側面で吸引されるように舌の上に乗せられ噛む位置を変えたり、飲み込む動きをしていきます。

以上から、食べ物を噛める位置まで運び、舌の側面部が食べ物を支えて舌の上にのせて飲み込むまでとても重要な役割を果たしているのがわかると思います。

正しい咀嚼ができるようになるために「舌の側方のトレーニング」は必須で、これら一連の動きを無意識にできるようにしていく方法です。

舌の側方ってそもそもどこ?

舌の側方とはそもそもどこの部分なのでしょうか。

舌の側面部は上の画像の緑で囲まれた部分になります。この部分の機能に問題があるとわかれば、側面に合ったトレーニングを重点的に行っていくことになります。

もしあなたが、舌のどの部分に問題があるのかがわからない場合、滑舌が悪いのはなぜ?MFTを使って舌の問題を見分ける5つの方法の記事を参考に”ベーシックトレーニング”を行い、問題がある場所を見極めてください。

知らないと意味がない!トレーニングの前に覚えておくべきこと

まずは舌側方のトレーニングをする前に知るべきMFTの基本を覚えておきましょう。普段呼吸をしているときは、口は閉じたままで舌の先は”スポット”と呼ばれる部分に舌はあります。

 

また、舌側方のトレーニングを行うときに口蓋に舌をピタッとつける練習を必ず行ってください。これら基本ができないと今から解説するトレーニングを正しく行うことができません。

それでは具体的な舌の側面を使ったトレーニング方法を解説していきます。

舌側方の力をつける、 ”サイドタングレジスタンス”

まずは基本的なトレーニングから解説していきます。サイドタングレジスタンスは舌の側方の力をつけるために行います。回数は10回で1セットとします。

  1. スティック【小】を舌の側方にいれます。
  2. スティック【小】で舌の側面を2秒間押し、舌でそれを押し返します。
  3. 2秒間リラックスした状態を保ちます。
  4. 2〜3を繰り返します

サイドタングレジスタンスは、舌の力をつけるためのトレーニング方法です。スティックをあてるときは、舌の側方部分を、目でしっかり見てあてていきます。

これから解説するサッキングサウンドができない場合の補助トレーニングとしてサイドタングレジスタンスを重点的に行ってみてください。

舌を平らにすることを覚える”フラットタング”

フラットタングは舌を平らにすることによって、舌の側方を使うことを覚えるための基本的なトレーニングです。回数は10回で1セットします。

  1. 口全体を大きく開けます。
  2. 舌を前に平らに出して10秒間維持します。
  3. 舌の側面を横に広げて、中央を凹ませます。

舌を平らにすることを覚えることで、コントロールを良くしていく基本的なレッスンです。

水を運んで飲み込むまでの力を鍛える、 “スラープスワロー【ストロー有り】”

水を自分の力で舌の上に集めて、喉を使って嚥下する力を鍛えるために行います。回数は20回で1セットとします。

  1. 舌を口蓋にピッタリとあてたまま口を開けます。
  2. 3番目と4番目の歯の間( 犬歯の後ろ)にストローを置きます。
  3. そのまましっかりと噛みます。
  4. 舌の先をスポットにおきます。
  5. 口角からスプレーで水を入れます。
  6. 口唇を横にしっかりと広げたまま音を立てて吸い、水を舌の上に集めます。
  7. 口唇を開けたまま喉を使って嚥下します。
  8. 5〜7を繰り返します。

ストローを噛む理由は、水を飲み込んだとき舌が突出してこないようにするためです。常にストローが無くても舌が突出させないように意識しましょう。

レッスンをする上で大切なことは、口を開けたとき、舌はスポットに必ず触れ続けるようにします。また、水を吸い上げるときは、勢い良く奥歯の方から吸い込むようにします。

起きやすいエラーとして、飲み込むときに舌がスポットから離れてしまったり、横に広げた口唇が閉じてしまったりします。

正しく水を吸うことができると「ジュ!」と空気と水が混ざったような音がします。

口蓋に舌をピッタリあてて開けるときは、舌全体が口蓋に張り付いているような形にしますが、もし何度も失敗してしまう場合は、滑舌を改善させる唯一の方法!舌の先を使ったMFTトレーニング 実践編を参考にしてみてください。

ストロー有りに慣れてきたら行う、 “スラープスワロー【ストロー無し】”

スラープスワロー(ストロー無し)も水を自分の力で舌の上に集めて、喉を使って嚥下する力を鍛えるために行います。回数は20回1セットで行います。

  1. 舌を口蓋にピッタリとあて、舌の先をスポットにあてます。
  2. しっかりと噛みこんだまま、口唇を横に広げます。
  3. 口角からスプレーで水を入れます。
  4. 口唇を横にしっかりと広げたまま音を立てて吸い、水を舌の上に集めます。
  5. 口唇を開けたまま喉を使って嚥下します。
  6. 3〜5を繰り返します。

ストロー有りの場合と違い舌をさえぎるものが何も無いので、舌が出やすく注意が必要です。もし飲み込んだ際に舌が出てきてしまう場合は、もう一度ストロー有りの状態で行ってください。

ストローが無いと噛みしめて飲み込むことをついつい忘れがちになってしまうため、歯と歯が離れないように常に注意しておきます。

舌側方の感覚を養う”サッキングサウンド【ストロー有り】”

サッキングサウンドは唾液を舌の上に集める際の、舌側方の動きを感覚で覚えるために行います。3回の音を10回出して1セットとします。

  1. 舌を口蓋にピッタリとあてたまま口を開けます。
  2. 3番目と4番目の歯の間( 犬歯の後ろ)にストローを置きます。
  3. そのまましっかりと噛みます。
  4. 舌の先をスポットにおきます。
  5. 噛んだまま、口唇を横に広げます。
  6. 舌後方の側面部で唾液を引き寄せ、口蓋の横の部分を斜め後ろに向かってはじくような音を出します。【サッキングサウンド】
  7. 「ジュッ、ジュッ、ジュッ」と3回音を出したらリラックスします。
  8. 6〜7を繰り返します。

正しい動きができているのか確認しづらいのがこのレッスンの特徴です。舌打ちの「チッ、チッ、チッ」というような音ではなく、水分と空気が混ざった摩擦音のような「ジュッ、ジュッ」といった音ができているのかを必ず確認します。

音を出すときに首や唇が大きく動いて閉じてしまっていると正しい動きではありません。また正しい舌の側方の動きができていると顎の下部分が音と同時に膨らんでいるのを確認してください。

 

舌後方の側面部を使って、唾液を引き寄せる動作を”サッキング” といいます。舌の側方を使ったトレーニングには頻繁に使われる基本的な動作です。

 

まとめ

今回は正しく咀嚼できるようにするための、「舌の側面を使った基本的なMFTトレーニング」を解説してきましたが、いかがだったでしょうか。舌の側面は普段使われているか、使われていないかもわかりにくい部分ですので、鍛えることもとても難しい部分です

しかし舌の側面をうまく使うことができないと、いつも何気なく行っている食べ物を良く噛んで、飲み込む基本的な動作が気づかないうちに疎かになってしまいます。

もしこれらのトレーニングが完璧にできるならば、咀嚼と嚥下を同時に鍛える!プロが教える舌側方のMFTトレーニングで解説している訓練に進んでください。

うまく咀嚼できているかが知りたければ、これらのトレーニングの成果を歯科医院で評価してもらったり実際に噛んでいるところを見てもらうことで知ることができます。

今回の記事を読んで、歯科医院でMFTを実際に行っている人の参考になったり、トレーニングをするきっかけになればと思います。

今回は以上です。

 

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