舌が白い人は必見!舌苔の原因と除去の方法を歯医者が徹底解説

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Dr.KITAMI

北見 顕介/KensukeKitami このコンテンツでは、現役の歯科医師ができるだけ専門用語を使わずに、わかりやすい言葉を使って解説しています。
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誰もが一度、自分の舌を鏡で見たときに舌の上が白くなっていることが気になったことがあるはずです。

「もしかして何かの病気!?」と考えた人も中にはいるかもしれません。

今回は記事を読んだあなたが正しい知識を得ることができるように、誰もが舌の上についている、「白いもの」が一体何なのか、付着する原因、除去方法、予防法について画像を使ってできるだけ詳しく解説していきます。

それではさっそくいきましょう!

舌の上の白い物体の正体は!?

舌の上にのっている白い物体は”舌苔(ぜったい)”といわれ、その名の通り舌の上に苔(こけ)のように広がっています。舌苔は指の爪でぬぐうことで簡単に取ることができ、とてもネバネバしていています。

この舌苔の成分は大きく分けて次の3つに分けられます。

  • 口の中の”細菌”
  • 細胞が剥がれ落ちたもの
  • 食べ物の残りカス

中でも細菌が多くの割合を占めていますので、「菌の塊」が舌の上にたくさん張り付いているというイメージで良いです。これは歯の周りについている”プラーク(歯垢)”と中身は似ています。

では、プラークとはどんなものなのでしょうか。

プラークは写真のように、歯の周りにこびりついている黄白色のものです。口の中には約100億以上もの細菌がいるといわれ、このプラークも「細菌の塊」です。口の中を不潔にしていると、プラークが増え、歯の周りだけではなく舌の上にも多くついてくるということですね。

舌苔がどうやって舌についているのかを解説

では舌苔は舌にどのようについているのでしょうか。それを知るには、まず舌の構造を知る必要があります。

舌を拡大すると表面には”乳頭(にゅうとう)”というブツブツとした突起のようなものが無数に存在しています。この中に、”糸状乳頭(しじょうにゅうとう)”という突起があります。

この糸状乳頭は舌全体に広がっていてとてもザラザラとしています。これは舌全体に写真のような絨毯が広がっているようなイメージです。

この突起に、「先ほど解説した3つ」+「唾液のネバネバした成分」などが混ざり合い、この糸状乳頭に付着します

口の中のプラークや汚れが多いと当然、糸状乳頭につく舌苔の量も多くなり、より白くみえるというわけです。

舌はもともと白い?”正常の舌”とは

舌が少しでも白ければ問題があるというわけではありません。口の中を清潔にしていても舌は白くなります。これは糸状乳頭が”角化(かくか)”と言って元々白くなっていることと、舌苔は舌がザラザラしている限り、少量はついてしまうためです。

したがって舌が白くなく、舌苔が全く無い状態も異常ということになります。

たくさんの舌苔を放っておくと起きる4つのトラブル

舌苔が舌にたくさんある状態で放置していると、口の中にどのような影響がでてくるのでしょうか。舌苔の成分である細菌や、食べ物の残りカスなどが口の中に放置されているとあまり良いことはありません。

ここでは舌苔を放置することで起きる主なトラブルを4つに分けて解説していきます。

口臭の原因になる

舌苔の付着は口臭の原因となることがわかっています。口の中の約100億の菌の中には

  • 虫歯の原因となる菌
  • 歯周病の原因となる菌

がいます。歯周病が進んだ人は口臭がキツイことからも想像できるように、歯周病の原因となる菌はたんぱく質を分解するときに”臭いガス”を出すことがわかっています

舌は歯の表面と違い、虫歯の原因となる菌は少数派ですが、歯周病の原因となる菌は多く存在しています。

舌苔の量が増えると、口臭の原因となるような「臭いガスを出す菌”の数も同時に増える」ため口臭の大きな原因となるのですね。

舌苔が口の中全体を不潔にする!?

歯磨きを怠っていて口の中を不潔にしている人ほど、歯の周りには写真のようなプラークが多く付着しています。

このプラークは口の中でとても害のあるもので、歯周病の原因となります。

歯を磨く目的は歯の周りについたこの”プラーク(歯垢)”を除去し菌の数を減らすことがとても大切です。しかし舌の上に多量の舌苔がついていると、歯の周りのプラークを取り除いたとしても、口の中にはたくさんの菌が残ります。

逆に舌も常に清掃できていれば口の中全体の菌の数を減らすこともできます。口の中を本気で綺麗にしようとしたら、歯だけではなくて「舌の上にも舌苔がついていないか」を意識することも必要なのです

多くの舌苔は”味覚”にも影響

舌の上のたくさんの突起の中には、食べたときの味を感じる部分も存在しています。舌苔の層が厚くなることで、周りの味を感じる部分にも舌苔を含む「汚れ」が覆い被さります。

図のように味を感じる細胞に汚れが多いかぶさることで、味を感じる感覚が鈍くなり味覚に影響がでることがあります。

舌苔が付着している糸状乳頭(しじょうにゅうとう)自体には味覚はありませんので、少量の舌苔では味覚に影響がでることはありません。

お年寄りは特に危険!誤嚥性肺炎【ごえんせいはいえん】

舌苔は「細菌の塊」という話を何度もしてきました。大量の菌が誤って別の臓器に入ることで感染を起こしてしまうリスクがあります。中でも”誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)”は水などと一緒に菌が肺に入り込み、肺に炎症が起きます。

特に高齢者に多く肺に菌が入り込むと、高熱や咳(せき)や痰(たん)などが出たり、呼吸が困難になり死亡することもあるので、舌を含めた予防がとても大切です。

舌苔が付着する4つの原因

舌苔は健康な人でも多少はついていますが、舌苔が多くつきやすい人には理由もあります。主な原因を4つに分けて解説していきます。

舌苔が付着しにくくするための予防策として是非知っておいてください。

口の中の清掃不良

口の中の清掃状態によって舌苔の量は増加します。歯磨きが上手にできずに、歯ぐきに赤みがあるような人は

  • 歯の周り
  • 歯ぐき

の上にいる、「多量の菌」が唾液などと混ざり口の中を常に漂っている状態です。

その結果、舌の上に細菌や食べカスがたまりやすくなり多量の舌苔が付着します。多量の舌苔が付着している人は舌を綺麗にすることだけにとらわれず、歯も上手く磨けるようにして口全体の菌の数を減らすことがとても重要です。

口が乾燥していないかをチェックする

口の中が乾燥している人は”唾液”の量が少なく、舌苔が付着しやすくなることがわかっています。

唾液には細菌の増殖を抑える「抗菌作用」や舌を守る「保護作用」があり、唾液が少ないことで口の中の細菌が増えたり、舌が傷つきやすくなります。傷ついた舌は表面を洗い流すことも難しく、汚れが溜まりやすくなるため舌苔の量が増加します。

唾液の量が低下して、唾液の質に異常を来し口の中が乾燥する状態を”ドライマウス”と言います。ドライマウスは口の中がカラカラで不快になりストレスが溜まる原因にもなります。クッキーやパンなどパサパサした質感の食品はうまく食べることができないため、口の中に張りつき掃除しにくく、不潔になりやすくなります。

舌苔が多い人ほど食べ物を”食べていない”!?

口から物を食べた方が舌苔が付着しやすいと思いがちですが、食べ物を口から食べなかったり舌を使わない人ほど舌苔は多く付着します。

人が物を食べるとき、舌は食べ物や歯などにあたることで舌がこすれ合います。同時に唾液がたくさん出ることで、口の中の食べカスやプラークを洗い流しています。

しかし食べるときに舌をうまく使うことができない人は、舌がこすれ合う機会が減ることで舌苔が多く付着することになるのです。また脳の病気で手足や舌の動きが制限されている場合も同じです。

舌の動きが悪い場合に正しく動かす訓練方法としてMFT(口腔筋機能療法)というものがあります。もっと知りたい方は、歯並びが良くなるMFTとは?歯科のプロがわかりやすく解説を参考にしてください。

体の不調による舌苔の変化

疲労やストレス、病気によって免疫力が低下することで、口の中にいる菌が繁殖しやすくなり舌苔が付着しやすくなります。そのため舌を鏡で見たとき健康なときよりも、体調がすぐれないときの方が舌の色は白くなることが多いはずです。

また胃の調子が悪い場合も、一般的に舌苔の量が多くなります。これは舌の味覚や感覚を低下させることによって食欲を減らし、食べる動作を減らすことで胃を保護するためと言われています。

このように舌は全身の状態を表す指標にもなっているのです

こんなときは歯科医院の受診をすすめる”舌のサイン”

先ほど解説した通り、舌を見ることで現在の全身の状態を把握できることがあります。

ここからは誰が見てもわかるような、具体的に「このような状態のときは歯科医院の受診をすすめる」いくつかの例を解説していきます。

舌苔が黄色い”黄苔【おうたい】”

舌苔に色がついている場合は全身に悪い影響が出ているサインになります。ただしタバコやコーヒーなどによっても一時的に着色することがありますので区別が必要です。

発熱や水分が低下していると、舌苔が黄色に変色することがあります(黄苔:おうたい)。舌苔がいつまでも黄色い場合は胃の粘膜に吸収障害がある可能性があるので歯科だけでなく、内科の受診もすすめます。

舌苔が黒い”黒毛舌【こくもうぜつ】”

抗菌薬など、細菌の増殖を抑えるような薬を長い期間服用している場合、口の中の菌のバランスが崩れ舌表面の突起が異常に長くなり写真のように黒く着色することがあります(黒毛舌:こくもうぜつ)。

またこのように全体が黒く変色した舌苔は、先ほど解説した黄色の舌苔の状態よりもさらに全身状態が悪化し、体力の消耗が激しい場合でもみられることがありますので十分な注意が必要です。

舌にしこりのようなものがある

もし舌が白いだけではなく、触ったときにしこりのような硬い部分があればすぐに歯科医院を受診することを勧めます。舌苔は舌の表面に張り付いた”汚れ”ですので触れば誰でも拭うこともでき、舌が硬くなったり盛り上がったりすることはありません

また舌苔は突起がある舌の上面にのみ広がるので、写真のように舌の側面や裏側に広がりにくいことも覚えておきましょう。

舌苔に模様がつく”地図状舌【ちずじょうぜつ】”

舌が写真のように模様がついている場合は正常ではなく異常な所見です。地図のような見た目から”地図状舌(ちずじょうぜつ)”といわれています。

原因は良くわかっていないのですが、ビタミン不足やストレスなどの精神的な要因が疑われています。舌にものが触れたときに痛む、”接触痛”が生じることがあります。

効率良く舌苔を除去する2つの方法

それでは舌の上についた舌苔を除去するための方法を2つに分けて解説していきます。歯の周りについた汚れは磨かないと落とすことができないことと同じように、舌の上の汚れも磨いて落とさなければとることはできません。

うがいをしたり、洗口剤だけで簡単に除去することができるとは思わないようにしてください

舌のための歯ブラシ”舌ブラシ”を使う方法

歯を磨く歯ブラシ以外に、舌を磨くための”舌ブラシ”が市販されています。それらは大きく分けてブラシタイプとヘラタイプに分かれています。

舌をある程度磨いても舌の表面が傷つきにくいよう、毛や表面が軟らかく作られているいるのが特徴です。舌ブラシで磨く方法は以下にまとめました。

  1. 鏡を見ながら、なるべく舌を前に突き出すようにする
  2. あまり力が入らないように、握らずに軽く指で持つ
  3. ブラシ、またはヘラの部分を舌の上面に沿わせるようにして奥から前に掻き出すようにする
  4. 力をかけすぎないようにして数回繰り返す
  5. 舌苔が付着したらこまめに水洗いする

舌ブラシを使う際に注意すべきこと6つ

舌ブラシを使う際に必ず守らなければいけないことがいくつかあります。

  • 必ず鏡を見て行い、舌苔の量を把握すること(少ない場合には何度もする必要がありません)
  • 磨く位置、境界を把握してそれよりも後ろは磨かないようにする
  • 舌の表面は傷つきやすいため、市販の歯を磨くための歯ブラシは硬すぎるため使用しないように
  • 舌を磨くことを1日何度も行わないようにする
  • 多量に舌苔が付着している場合には一度に全てを取りきろうとせずに、何度かに分けること
  • 歯磨き粉は使わないこと

舌ブラシでむやみに舌の後方を磨こうとすると、咳きこんだり、異物を口の外に反射的に出そうとする嘔吐反射(おうとはんしゃ)が起きてしまいます。

舌の後方を磨きすぎないよう磨く位置、境界を決めてその境界より前に向かって磨くようにします。

また歯磨き粉には歯をツルツルにするための”研磨材”というものが入っていますので、舌ブラシと併用したり何度も磨いたりすると舌を傷つける原因となってしまいます。

音波歯ブラシを利用する方法

現在、音波歯ブラシの中には舌を磨くヘッドが付属として売られているものがあります。ヘッドの突起が舌の乳頭の隙間に入り込み舌苔を叩き浮かせます。音波歯ブラシの良い点としては、舌ブラシのような動作をせずに、舌苔を効率良く落とすことができます。

ただし音波ブラシも、舌に強く押し当てたり、何度も行うことで舌が傷ついてしまうので注意が必要です。一回の使用時間は約20秒程度にして、3回程度に分けて行うようにしましょう。

この電動歯ブラシは除去効率が非常に高いためオススメです。

舌苔を予防するための4つの方法

舌苔が付着した後にそれらを除去する方法の後は、舌苔が付着しにくいようにする方法を解説していきます。

舌苔が多くついた後だと、除去することも大変ですしトラブルが起きた後の対応になってしまいます。まずはあなたの舌に舌苔がつきにくいような努力をしていきましょう。

口の中を綺麗に保つことが全ての基本!

舌苔は菌の塊や細胞の死骸、食べ物のカスが混じり合ってできるものなので歯を100%に近い状態で磨くことができれば、それに比例して舌苔の量は劇的に少なくなります。

まず舌苔をできにくくする一番のコツは、歯を磨くことが上手になることです。歯の周りについたプラークや食べカスがついている割合を少なくする努力をしてください。

口のトラブルは口の中を不潔にすることで起きることがほとんどです。またなんらかの歯の病気になったとしても、口の中の清掃状態が良ければ病気が一気に進むことはほとんどありません。

口が乾燥しないような努力をする

口の中が乾燥している人は舌苔がつきやすくなるという話をしました。

口の中が乾燥していて唾液が出にくいという自覚がある方は口の中をできるだけ乾燥しないような努力が必要です。そんな人のために、いくつかの対処法を解説します。

保湿剤の”本当の使い方”を理解する

口が乾燥していると感じる人にはまず保湿剤の使用を勧めます。保湿剤は口の中の水分を一定に保つための薬剤で、保湿の作用がある洗口液、ジェル、スプレーなどがたくさんの会社から発売されています。

ここで注意して欲しいのはこれらの製品の作用に全て頼るのではなく、唾液が出る場所のマッサージのための潤滑油として使用する方法をおすすめします。したがって保湿作用さえあれば、どれを使っても問題ないと思います。

口を一度うがいなどで潤せた後、次に解説する口の中のマッサージを行います。

”唾液が出る場所”をマッサージ

口の中には唾液を作り出す”唾液腺(だえきせん)”という場所があります。その場所を知り、そこを効果的にマッサージをして刺激を与えることで、口の中の唾液の量が回復することがあります。これらに特別な器具はいりません。

口の中には3つの大きな唾液腺があります。”耳下腺(じかせん)”という大きな唾液腺は頬近くにあり、上の奥歯付近に「唾液が出る出口」があります

この部分を矢印の方向に力を強めすぎないようにしながらマッサージしてください。

さらに”顎下腺(がっかせん)”と”舌下腺(ぜっかせん)”という2つの唾液腺は両方とも顎の下辺りにあり、舌の裏側に出口があります。

これらの位置を矢印の方向にやさしくマッサージすることで、唾液が口の中に出るのを感じると思います。

この部分のマッサージを毎日寝る前など決まった時間に行うことで唾液が出やすくなります。

唾液腺の正しい位置を知らずにマッサージすることで、痛みを誘発することがあるので、一度歯科医院にて場所などを指導してもらってから必ず行うようにしましょう。

まとめ

今回は舌の上にある白い物体の正体、”舌苔”についてどこよりも詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか。

  • 少量の舌苔は正常であること
  • 体が不調なときにつきやすいということ
  • 舌苔に色がついている場合は病気のサイン

ということはとても大切ですので覚えておきましょう。また”舌苔をまったくつかないようにする”ということは不可能なので舌苔自体を治療するという考え方ありません。舌が白くなっているからといってすぐに病気だとは思わないでください。

また歯科の領域は病気になってからではなく、「病気になる前に予防すること」が治療の基本ですので、舌苔が付着しない努力をして“口の中を清潔に保ち、健康な状態に保つ“ということが最も重要です。

今回は以上です。

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